【文スト】掟破り【ドストエフスキー】 (ページ2)

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破ページ2

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地下では朝も昼も夕方も、夜でさえも関係ない。

彼に頼まれた仕事もひと段落して、此処には必要のない筈の、机上の置き時計に視線を向ける。

其れは、私の“残り時間(タイムリミット)”

『…もう夜中、かぁ。』

フョードルは、桜を見に行って呉れただろうか。

彼は余り外出をしないから、正直云って心配だったりする。

あの言葉も、彼の外出のきっかけを作りたくて云った事。

フョードルには、もっと沢山、世界を知って欲しい。

…私より、ずっと沢山の世界を。

だから__________________

㌧㌧

来訪客を知らせる、木の扉を叩敲(ノック)する軽快な音。

「夜分遅くにすみません。Aさん、まだ起きてますか？」

『ぇ、あ、フョードル！？起きてるよ！』

バタバタとデスクから離れ、扉を開けに行く。

夜型な彼に対して、私は完全なる朝型で。

気遣い屋な彼は、私に任せる心算の仕事は昼迄に…遅くても、夕方迄には終わるようにしてくれる。

その上、夕方からは私に仕事は遣らせない。

“貴女は朝型でしょう？午前中にやって頂ければ十分です“なんて云って。

「桜を、見に行きましょう。」

其の声は、何時ものフョードルとは違く、力強かった。

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