【KING OF PRISM】伝説の女だけど放っておいてほしい (ページ4)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:18,805 hit

第三話ページ4

流れ出す音楽に合わせて心が跳ねる。なのに胸が痛くて、足も痛くて、力なくその場に尻をつける。

「赤い糸！夏の恋！」

　今にも心が折れそうなのに、ジャンプは無限の煌めきを持っていた。その煌めきが大好きで、だから私はどんな痛みを受けてもプリズムショーを未だに好きでいられるんだと思う。
　なのに耐えられなくて視線を逸らした。最早誰のプリズムショーを見ても視線を逸らしてしまうのかと思って、その倍以上に煌めく光に自然と顔が上がる。

「無限ハグ！！」

　その時、空から少年が降ってきた。
　比喩ではなく、降ってきた少年は全裸のまま私にぶつかってぎゅっとする。そのぎゅっに感じる痛みは一切なく、すぐさま心を丸裸にされたかのような快楽が私に襲いかかってきた。

「……ッ！」

　危うく叫びそうになるのを我慢する。気持ちよすぎて頭がおかしくなる。くらくらして、きゅんきゅんして、ふらっと真後ろに倒れそうになってがっしりとした体に支えられた。

　同じくジャンプを受けているのに、私の異変に気づいて支えてくれたミナトが後ろからぎゅっとしてくれる。ぼうっとしていた頭はそこから段々と鮮明になって、私はミナトに体を預けて甘えたまま深呼吸を繰り返した。

「ミナト……」

「羅生門、大丈夫？」

「……大丈夫」

　ミナトに抱き締められると安心する。けれど、ユキからの視線が恥ずかしくてすぐにミナトの腕を解いてしまった。なのに、するりと離れていくミナトの手は私の手首を掴む。

「羅生門、行くのはよそう」

「…………」

　思わずリンクへと足を向けていた私の行く先を阻んで、ミナトは手首から手へと自らの手を移動させる。私は引き返すユキ、レオ、ユウの後ろ姿を見、ミナトに担がれながら渋々練習場を後にした。