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六十言目 ページ15

少しして瑞希さんが来た。
部屋に入って挨拶をした後あからさまに嫌そうな顔をした。
異能を使って何がそんなに嫌なのか聞いてもいいけど、後で面倒な事になりそうだから今はやめる。
中也はというと、先刻私が淹れた珈琲を飲みながら今日の予定を瑞希さんに聞いている。
ふーん、こんな感じなんだ。

中也「とりあえずA、此れ首領の所持ってって呉れるか?」

貴方「ん、わかった。此れだけ?もう他にはない?あるなら……」

彼から受け取ってすらすらと言ってしまった余計な言葉に気がついた。
何を隠そう太宰は纏めて出さないから戻ったらまた、という事が常だった。
そのせいで私は毎度『此れだけ?もう他にはない?あるなら待つから早くやって』と言っていた。そう言い始めてから往復する事は減った。
お陰で体に染みついてしまった。
あの包帯無駄遣い装置め。

私がはっと手で口を抑えると中也も思い出したのか笑った。
瑞希さんだけがぽかんと私達を見ていた。

中也「ねェよ。俺はあの木偶じゃねェんだ。手前に手間取らせるかよ」

貴方「そうだよね。ごめんごめん。つい癖で」

中也「そういや言ってたな。毎回」

貴方「終わった順に押し付けられてたからね。……懐かしい」

中也「手前がその頃を憎んでないならそれで良い」

貴方「憎んでなんか無いよ。ちょっと辛いけどね」

何で彼が私を置いて行ったのかわからない。
思いつきはするものの、彼ならもっと難しい簡単な理由に行き着くだろうと思う。

中也「俺は置いて行かねェ。絶対に」

柔らかく、でもしっかりとした彼の声に安心した。
中也は私を見捨てない。

貴方「…ありがと」

瑞希「あの…、何の話ですか?」

自分の知らない事を当たり前の様に話す私が気に入らないのか瑞希さんは割って入ってきた。

中也「手前には関係ねェよ」

瑞希「でも気になるじゃないですか。それにほら、一緒に仕事する仲になった訳ですし」

中也「手前にも知られたくねェ事の一つや二つ、あンだろ」

まぁ別に太宰の事を知られるのは良いけど、その後の中也に散々迷惑をかけた事は知られたくないかな。
面倒くさそうだし。

貴方「首領の所行ってくるね」

中也「あァ、頼んだ」

彼がちゃんと瑞希さんとは一線を引いて接してくれてるのが嬉しくて長い廊下をニヤニヤしながら歩く。
きっと変な奴に見られただろうな。
因みに首領にも笑われた。

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設定タグ:文スト , 中原中也 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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鶴媛(プロフ) - 紅野さん» わぁ!ありがとうございます!!お忙しいのに私の勘違いですみません!更新嬉しかったです、暑い日が続きますがどうかお体に気をつけてお過ごし下さい。 (2020年8月18日 1時) (レス) id: dda77e3f70 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 鶴媛さん» コメントありがとうございます。いえいえ!忙しくて更新が止まってしまっただけです!また空いてる時間で更新するのでご安心を…! (2020年8月18日 0時) (レス) id: b4d088780f (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - え、八十五話で終わりなんですか?かなり気になるところで終わってしまって少し残念に思います (2020年8月17日 4時) (レス) id: 5d76437753 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 橘明音さん» ありがとうございます。そう思ってもらえて良かったです。ゆっくりですが頑張りますね。 (2020年3月2日 11時) (レス) id: b4d088780f (このIDを非表示/違反報告)
橘明音(プロフ) - 最後のコメントありがとうございます。 私は受験終わったけど学校なくて本当に暇だったのでそう言って書いてくださること、本当に嬉しいです!更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2020年3月1日 23時) (レス) id: 0fca2029db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2019年2月6日 15時

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