僕は ページ4
あれから少しして彼の首から口を離し血を止める。
魔法じゃないけど何故か止血は出来る。
吸血鬼特有の力らしい。
「もういいのかい?」
貴方「もう大丈夫です。…御免なさい」
彼の首のあたりに巻いてあった包帯やシャツの襟は彼の血で赤く染まっていた。
僕は昔から首から飲むのが下手なのだ。腕とかの方がまだ上手にできる。でも首だけはどうも上手く飲めない。
母さんや父さんはそんな事なかったのに。
「何も謝る様な事してないじゃあないか」
貴方「僕、首から飲むの下手なんです。それに、跡残っちゃうし…」
「こんなの隠れるよ。却説、君の事聞いてもいいかな」
貴方「…僕のこと?」
「そう。まだ名前も聞いてないからね」
貴方「先に教えてください。名前」
「私の?私は太宰治。先刻聞いたと思うけど、武装探偵社の社員だ」
太宰さん。変な人だ。
でも彼の血は水飴何かよりも甘くって美味しかった。血は嫌いな筈なのに彼のなら許せてしまえるほどだった。
君は?と微笑む彼。
綺麗な顔。僕もよく言われるけど、他人にそう思う日が来るとは思ってもみなかった。
貴方「僕は、鞍凪A。ある人から逃げて来た」
太宰「ある人?」
貴方「多額の金を出して僕を買った人」
太宰「…人身売買か」
貴方「そうじゃないんです。僕は人じゃないから、法には触れないんだって。人の形をした化物だから」
笑う僕を太宰さんは違うでしょ、と抱き締めた。
暖かい。彼はどうして僕に言う事を聞けと言わないんだろう。どうして罵ったりしないんだろう。今まで会ってきた奴らも彼も同じ人間なのにどうしてこんなに違うんだろう。
太宰「君は化物何かじゃない。本当の化物は人に血を流させて、御免なさいなんて言わないよ。君は吸血鬼になりたくてなった訳じゃない。そうだろう?」
貴方「……人間だったらどれ程良かったかなんてもう飽きる程考えました。でも、行き着く結論は何時も同じなんです。生まれてしまったからもう変えることはできない」
太宰「それはそうだね。でも、どう生きるかはまだ選べる」
どう生きるか…。
分からない。どう生きたらいいんだ。
一人じゃ何も出来ない。
貴方「僕は、どう生きたら良いんですか…」
太宰「それは私が教えることじゃないよ」
貴方「どうして…。僕には頼れる人とかいないんです…。何でもしますから。教えて下さい。僕はどうしたら良いんですか…」
僕の耳元で彼は息を吐いた。
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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時