忘れられないこと ページ28
ずれる視線、小さな痛み。
何が起こったのか理解できずただ自分の右の頬に手を当てる。
太宰「痛いかい？ごめんね。でも悪いのは君だ」
その言葉を理解する余裕なんてない。じわじわとわかり始めたのは彼の左手が僕の右の頬を弾いた事。
太宰「何故私が君を傷つけたか、教えてあげよう。君が君を馬鹿にしたからだ」
貴方「……え？」
太宰「好きな人を馬鹿にされて黙ってられる訳ないだろう。例え相手が本人であってもね。……手が出たのは謝るよ。痛かっただろう？」
先刻とは別人の様に僕の頬に優しく触れるその手に何故か恐怖を覚えた。
怖い。太宰さんなのに怖くて堪らない。
我慢しなきゃ。それを表に出しちゃいけない。誰よりも一番わかってる。それを見せた瞬間相手は別人になってしまう。
あの男がそうだった。気に入らないと手をあげ、その後に突然優しくなる。いや、優しく見えるだけで何も優しくない。やる事言う事には毒しかないのだ。
太宰「A？」
頭上から聞こえる太宰さんの声。
それに反応して震え出す手。駄目、収まって。バレたら太宰さんは僕の事を捨てるかもしれない。こんな事で、と嫌いになるかもしれない。
貴方「は、い」
太宰「……あぁ、そう」
一段低い声で発せられたその言葉の意味がわからず更に恐怖は増していく。
僕の頬に触れていた手で上を向かされる。
彼と目が合う。怖い。きっと僕の目には恐怖しか映っていない。
太宰「君がそんな風になるまで気づかなかった私が悪いね。怖がらなくていい。私は捨ても嫌いもしないから。ね？」
貴方「ごめん、なさい」
彼は視線を下げるとそっと僕を抱き寄せた。
何時もなら嬉しいそれも何だか今はとても怖かった。
太宰「何も悪くないよ。無理しなくていい。自然な事だ。だって、君が今、そうなっているのは今の私が君を買った男そっくりだから。そうだろう？」
ゆっくりと頷けば彼は僕の手を撫でた。一度だけじゃない震えを収めるように何度も何度も。
少しずつ恐怖心が和らいでいく。
でも無くなりはしない。何処かでまだ彼を怖がってる自分がいる。
太宰「恐怖心はそんなに直ぐになくなるものじゃあない。頭では忘れても身体は覚えているからね。トラウマなんてのはそういうものさ。だから無理に何時も通りになろうとしなくていいよ」
まだ少し震える手で彼のシャツを掴むと彼は何？と首を傾げた。
貴方「落ち着くまで、そのままで…」
太宰「わかったよ」
背中を撫でる手はやっぱり優しかった。
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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀｀) (2018年9月27日 23時) (
レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…！頑張らせてもらいます…！ (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました！ありがとうございます(*´ω｀*)これからも更新頑張って下さい(*´∀｀) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…！そう言って貰えるととても嬉しいです！私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅野 | 作成日時：2017年9月24日 22時
