何時もの彼 ページ23
目が覚めると窓の外はもう暗くなっていた。
体調はもう何ともない。
……たぶん。
起き上がると部屋の奥から起きたかい?と声が聞こえた。
貴方「……太宰さん?」
太宰「そうだよ。帰ろう」
彼に手を引かれてもう人のいない探偵社を出る。
外は肌寒い。普段薄着の僕にとってはかなり大きな問題で、寒さを紛らわす為に握られている方の太宰さんの腕に抱きつく様にした。
突然足を止めた彼は僕の名前を呼んで腕をするりと抜いた。
嫌だったかな。怒るかな……。
僕がそう思って俯いていると肩が少し重くなった。
見ると普段太宰さんが着ている外套がかけられていた。
太宰「寒いのだろう?あまり変わらないかもしれないけれど、家までそれで我慢してくれるかい?」
貴方「でも、此れじゃ太宰さんが寒いでしょ。僕なんかより自分の体を大切にしてよ」
太宰「自分より好きな子が風邪を引かない様にする方が大切だ」
貴方「僕は吸血鬼だ。風邪を引いたって何の影響もない」
太宰「私だって風邪引いても何もない」
そう言われると言葉に詰まる。
でも彼は僕より体弱そうだ。
これだけは言える。
貴方「太宰さんは普段から不健康そうだから心配なんだ。僕が血を飲まなくったって貧血起こしそうな顔色してるし、睡眠時間は日によって違うし、食生活も良くない。身長の割に細いから、何時か倒れるんじゃないかって。怖いんだ」
そう言うと今日初めて目を合わせてくれた。
その目は少し大きく開かれていて明らかに驚いている様だった。
そして頭の中で整理がついたのか何時もみたいに笑った。
太宰「……そんなに私の事、考えていてくれてたんだね。早く帰って温かいものでも飲もうか」
ほら、とまた手を出した。
先刻と同じ様に腕に抱きつく様に手を繋げば満足そうに笑った。
何時もひんやりとしている手は更に冷たく、腕までが冷えていた。
暖めるように力強くくっつく。
太宰「君がそうしている方が外套を着るより暖かいのだけれど」
貴方「絶対そんな事ない」
太宰「何でも否定するのは良くないよ。君は私より体温が高いから凄く暖かい」
確かに彼よりは高いけど、それは僕が特別高いんじゃなくて普通の人より少し高い僕と、普通の人よりかなり低い太宰さんという関係だから凄く暖かいと感じるだけだ。
早く帰って太宰さんを暖めてあげなくちゃ……。
彼の外套の裾が地面についたら申し訳ないなと思いながら早足で彼の隣を歩いた。
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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時