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本当は蓋をしておきたい事 ページ21

さっきまで出掛けていた太宰さんと国木田さんは帰って来たと思ったら僕に向かい合うようにソファーに座った。

太宰「……A、君を買った男について聞きたいのだけれど」

貴方「それ、今しなきゃ駄目?」

国木田「俺達が追っている事件と何か関係があるかも知れんのだ」

貴方「……あんまり思い出したくないんだけど」

体があの生活に恐怖を抱いているせいで思い出したいと思えないし、所々記憶が抜けている。

太宰「わかっているよ。でもね、君の話で沢山の人が助かるかもしれないんだ」

真剣な太宰さんの目を見ていると今朝の事を思い出して胸が痛んだ。

貴方「……」

乱歩「国木田。彼女は太宰に任せて僕の駄菓子買って来てよ」

社長室からやって来た名探偵こと、乱歩さんは国木田さんに向かってそう言い放った。

国木田「ですが乱歩さん」

乱歩「寧ろ二人にしてやった方がいい」

国木田「どういう意味ですか」

乱歩「太宰も大変だって事さ」

チラッと僕を見て楽しそうに笑った。
それは子供の様な笑顔だった。

国木田「わかりました。俺は乱歩さんの駄菓子調達に行って参ります」

そう言って国木田さんはまた探偵社を出て行った。
目の前の太宰さんは何事もなかったかの様に僕の隣に座り直して話を続けた。

太宰「それで、詳しく聞かせてくれるかい?」

貴方「……前言ったじゃないですか」

太宰「もっと詳しく」

貴方「……詳しい事なんて何も知らない」

太宰「……A、そこにいた時の話、全部してくれないかな」

貴方「嫌だ。幾ら太宰さん相手でも思い出したくないものは思い出したくない」

あの男を思い出すだけでも寒気がするのに全部だなんて……。

太宰「わかってるよ。でもね、もし君を買った男と何か関係があるなら早くわかった方がいいだろう?」

貴方「そりゃわかった方がいい。でも嫌だ」

太宰「どうしてそんなに思い出したくないんだい?」

貴方「怖かった。苦しかった。だから思い出したくない」

太宰「なら、少しでいい。そんなに嫌なら全部とは言わない」

それなら、と開きかけた口を閉じる。
此処は人が多い。
太宰さんだけになら話してもいい。
彼は何も怖くないから。
でも知らない人の前では言いたくない。

貴方「……此処では話したくない」

太宰「わかった。じゃあ、場所を変えよう」

やっぱり今朝から今まで一度も目を合わせてくれない。
僕の気を知ってか知らずか彼は僕の手を引いて奥の部屋に向かった。

彼に会う前→←可能性



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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時

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