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言わないで×11 ページ13

家に帰ると織田さんの方が先だったようで玄関に靴があった。

貴方「只今」

織田「遅かったな。迎えに行った方が良かったか」

貴方「ううん。知り合い来てて送ってもらったから大丈夫」

結局中也は閉店まで居て、序だからと私を家まで送ってくれた。
一人で大丈夫だと言ったけど、こんな時間に女一人で出歩くもんじゃないと言われてしまった。

貴方「織田さんは随分早かったんだね」

織田「先刻帰ってきた所だ」

貴方「そうなの。今日は誰と飲んできたの?坂口さん?」

織田「いや、安吾は今日来なかった」

貴方「あの人忙しそうだもんね。でも一人じゃないんでしょ?織田さん一人で飲む時は家で飲むから」

織田「よく見てるな」

貴方「そうかな」

だいたい織田さんが一人で飲んでる所なんてあんまり見た事ないけど、何度か隣で見た事ある。

織田「あぁ。今日は太宰とだ」

貴方「え……。太宰?太宰治……?」

織田「そうだが」

嘘でしょ。
絶対無いと思ってた事がこんなにも早く真実に変わってしまうなんて事があるだろうか。

貴方「織田さん、彼奴と友達なの?」

織田「まぁそうだな」

貴方「……そっか」

織田「どうした」

何時太宰が私の事を話すかわからない。
なら先に言ってしまった方が楽かもしれない。
後でバレて色々補足するよりも、今言ってしまった方がよっぽどいいかもしれない。

貴方「……隠してた事言っても私を遠ざけないでくれる?」

織田「遠ざける?何故だ」

貴方「あまりに単純だから、かな」

織田「遠ざける訳ないだろう。何だ」

私と彼の話を織田さんは追求するでもなくただ静かに聞いていた。
昔の事、久しぶりに会った時の事、今日会った事……。
話し乍らやっぱり彼に愛されたかったのかもしれないと少し後悔した。
今日も逃げずにちゃんと話をしていれば何か違ったかもしれないのに。





貴方「信じられないかもしれないけど、本当の事なんだ」

織田「そうか。お前の言ってた兄は太宰で、太宰の言ってた妹というのはAのことだったのか」

貴方「え、彼奴が私の事話したの?」

織田「少しな。Aは今でも太宰の事が嫌いか?」

貴方「前よりは落ち着いてた積りだけど、やっぱり本人前にしたらちょっと嫌いかも。でも、いなかったらそうじゃないかも」

まだ整理仕切れていないからわからないのだ。

織田「そうか。良かった」

貴方「何が良いの?」

織田「何でもない」

そう言った後、彼からこの話が出てくる事はなかった。

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設定タグ:文スト , 太宰治 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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アミ - この作品、すごく面白かったです!!更新頑張ってください! (2020年4月8日 11時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - モクズノドウケシさん» ありがとうございます…!掛け持ちしてるせいで更新かなり遅くなってしまいましたがここからまた頑張ります! (2019年1月5日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
モクズノドウケシ(プロフ) - 織田さんの出した最後の正しい道……。感極まります……、続きだ。嬉しい。更新頑張って下さいね! (2019年1月5日 13時) (レス) id: fd101bcda6 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - ジブリールさん» ありがとうございます!ゆっくり更新ですが頑張ります…! (2017年12月27日 13時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ジブリール - 続きが凄い気になります!更新待ってますね! (2017年12月24日 22時) (レス) id: 41cfeef620 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2017年10月8日 22時

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