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二十六言目 ページ29

太宰side

横浜の荒れた土地。
隅のほうにある誰も寄りつかない所。
そこにある組織を潰すため態々時間をかけて来た。
その組織はもう少人数しか残っていなかったがその少人数の中に組織の長と情報を握った奴らがいる。
それを潰すという至って簡単な任務だ。

太宰「本当に何もない所だねぇ。何もなさ過ぎて暇」

中也「仕事だ。我慢しろ」

建物の中を歩きながら再度何もないと思った時近くの部屋から話し声が聞こえた。
二人でドアの隙間から中を覗くと数人の男に囲まれ縛られている男と、少し離れた所に一人の男に見張られ涙を流す少女がいた。

「離してよ!」

「五月蝿ぇ小娘、黙ってろ!」

「お前があの子を渡すと言えばいいだけだ。早くしろ」

「駄目だ。Aは俺の娘だ。お前らにやるわけにはいかない」

どうやら捕まっている男と少女は組織とは関係ないようだ。
まぁ巻き添えになってもらうしかないか。

太宰「こんな所に全員固まっているとはね。行こう」

中也の返事を待たずにドアを開ける。
全員の視線がこちらに向けられ、今まで飛び交っていた怒号が嘘の様に静まり返った。

太宰「悪いね、お取り込み中なのに」

「誰だお前!」

太宰「ポートマフィア、とだけ言えばもう要件もわかるだろう?」

「ポートマフィアだと!」

少女のそばにいた男がそう言うと室内には銃声が響いた。
音の方を見れば先程少女を娘だと言っていた男が撃たれていた。
あれはもう死んでいるだろう。

「そいつ連れて逃げろ!」

撃った男が他の男にそう声をかけた。
少女の腕を掴み無理矢理引っ張る男達。

「やだ!離して!先生!死なないで!ねぇ、先生!」

先生?
少女は死んだ男を先生と呼んだが、死んだ男は彼女を娘と言っていた。
どういうことだろう……。

太宰「中也、出番だ」

中也「手前も偶には動きやがれっ!」

太宰「私の仕事じゃないもの」

文句を言いながらも男達を相手にする中也。
その中から少女を連れ出し、部屋の隅に座らせる。

太宰「大丈夫かい?」

小さく頷くだけで声は挙げなかった。

太宰「聞いてもいいかい?」

何も反応はない。

太宰「あの男は君の父親かい?」

ゆっくりと首を振ると静かに泣きながら答えた。

貴方「……本当の親じゃない。先生は親じゃない」

あぁ、この子は孤児なのか。
涙を指で拭ってやると彼女は大きく目を開いた。
この時何故か彼女の傍にいてあげたくて仕方なかった。

何故か近くに居て、助けてあげたいと思った。

びっくりしてます(番外編あり)→←二十五言目



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設定タグ:文スト , 中原中也 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました(笑) (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!頑張って書こうと思います! (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます! (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます!いつもゆっくり更新ですが頑張りますね! (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2018年4月15日 0時

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