二十五言目 ページ28
中也side
電子音で目が覚めると隣に居るはずのAがいなかった。
それに驚いてる間にも電子音は鳴り続け、何かと思えば知らない番号からの着信だった。
真逆と思いつつも釦を押した。
中也「……太宰か？」
『よくわかったね。そうだよ』
中也「何の用だ。巫山戯てるだけなら切るぞ」
『巫山戯てないよ。早く来給え。Aが死んでもいいのかい？』
中也「Aと一緒なのか！何処だ！」
『川だ。わかるだろう？Aのよく来る川だ』
中也「何でそんな所に……」
『ほら、早く。彼女を助けるのは私の役目じゃあない』
中也「どういうことだよ」
『いいから早く。死んでもいいの？』
楽しんでるかの様に言う太宰。
全く、死ぬならお前が死ねばいいのに。
小さく舌打ちをして気づいた。太宰は自分の役目じゃないと言った。詰り助ける気はない。ということは、俺が早く行かないとAは本当に死ぬ。
中也「今行く」
それだけ言って電話を切る。
長い会話はいらない。
彼女が死ぬ。
絶対にそんな事はさせない。幾ら本人が望んでいたとしても。
上着を羽織って裸足のまま靴を履く。
踵を踏んでいるがそんな事は気にしていられない。
そんなに遠くない筈なのに走っても無駄な程に遠く感じた。
焦りだけが前へと独り歩きして体が追いつかない。
異能を使えば体の重さなんて無いも同然なのにこの時だけはそんな事を考える余裕はなかった。
やっとの思いで辿り着いた先にはびっしょりと濡れた太宰と砂色の外套をかけられたAがいた。
太宰「遅いじゃないか、中也」
全力で走って来た俺まで酷くは無いものの太宰も息が切れている様だった。
中也「うるせェ。これでも走って来たンだよ」
太宰「君のせいで私まで濡れたじゃないか」
中也「なら何で助けた」
太宰「……死なせたくなかったからさ」
中也「どういう事だよ」
死んでもいいのかなんて言っておきながら死なせたくなかっただと？
太宰「君がこんなにもAを苦しめるならいっそあの時連れ出してしまえば良かった」
あの時というのはきっとマフィアを抜けた時の事だろう。
中也「お前となんて行かせてたまるかよ」
太宰「その自覚があるならもっと大切にし給え！……Aは私が初めて心から助けたいと思った大事な子だ。傷つけるなら傍にいないでくれるかい」
太宰がAを助けた時、真逆助けるなんて誰も思わなかった。何時もの太宰だったら見殺しにしてもおかしくなかったからだ。
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (
レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました（笑） (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます！頑張って書こうと思います！ (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます！ (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます！いつもゆっくり更新ですが頑張りますね！ (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅野 | 作成日時：2018年4月15日 0時
