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二十二言目 ページ25

大人しく彼の車に揺られ家につくと、ソファーから動くなと言われた。

……やること無い。

会話くらいあってもいいのだろうけど何せ私と中也だ。居辛い沈黙が続くだけ。
私がこうなった事、どう思ってるんだろう。

ただ黙って珈琲を入れる彼を横目に見て小さくため息を落とす。

彼は私を愛しているんだろうか。そんな情はあるんだろうか。
もしあるのなら昨日からの事は片が付く。でもそうだと出来すぎている。私は彼の趣味でもないし。
私なんてよく子供っぽいと言われる。見た目がだ。身長だって高くない。頭も良いわけじゃないし、彼みたいに体術が出来るわけでもない。多少事務仕事が人よりできるくらいだ。
そんなの彼が好きになってくれるわけないじゃないか。自惚れるのも大概にしろ。

死にたい。

人に愛されないのなら生きている意味などない。
誰かに認められたい。人として。生き物として。仮ではなく本当の居場所を見つけたい。

貴方「……死にたい」

ぼやける視界もそのままにただボーッと床を見つめる。
ぐっと手を握る。掌に跡がつくくらいに。
もうどうしていいのかわからない。

「力入れんなよ。傷口開くだろ」

突然隣りに来た中也は私の手を無理矢理開かせ、自分の手を握らせた。
彼の手を傷つけるわけにはいかない。と力を抜くと彼は私の手を握った。

嬉しい。けど彼は私をそんな風に見ちゃいないと何処かにいる私が畳み掛ける。
そのせいで余計に死にたくなる。
いっそ殺してくれ。
中也に首を絞められて死ぬなら本望だ。

でも絶対彼はそんな事してくれない。
だって優しいから。
どんな人相手でも優しい。マフィア内でも部下や構成員達に優しく話しかけてる所だって見たことある。勿論私や瑞希さんにも……。
流石に敵組織は別だけど、マフィアの幹部にしては優しすぎる。




……気分悪くなってきた。
少し吐き気がする。
中也の事ばかり考えて気分が沈んでる事と、先刻自分の腕の傷口を見た事が原因だろう。
ほぼ後者が原因か。
戦場では何ともないけど、普段は自分のでも気分が悪くなる程血や傷は見れないのだ。(とは言っても見た目が酷いやつだけで切り傷や鼻血くらいなら何ともない)
勿論他人のも。



私が太宰に拾われて来た頃からずっと。



とても大事な人を目の前で失ったあの日からそう。
傷や血は見れないし、何もしないでいると狂ってしまいそうになる。
死にたい。死ねば楽になれる。あの人に会える。
だから私は死を追い求める。

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設定タグ:文スト , 中原中也 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました(笑) (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!頑張って書こうと思います! (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます! (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます!いつもゆっくり更新ですが頑張りますね! (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2018年4月15日 0時

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