八言目 ページ11
夕飯を作り始めてすぐに中也からもう帰ると連絡が来た。
昨日遅かったからかな。
マフィアってそういう所ブラックなのかどうなのか。
……いや、ブラックだな。
昔、酷い時何連勤した事か。最早数える事をやめたくらいに毎日だったぞ。
それ以外にも突然呼ばれる事は多いし、徹夜だってもう特技の域だし、よく人質にされるし……。
私、何でそんな所で働いてるんだろう……。
そんな事をぼーっと考えているとガチャっと玄関から音がした。
帰って来たなと思いながらお皿を出し、リビングのドアが開くのを視界の端で捕えた。
リビングには中也の帽子を置いておく棚や外套掛けもある。
だから自然の事、何時もの事なんだけど何かが違うような気がした。
何が違うんだろうと考えつつもおかえりを言おうと口を開きかけた時、彼が小さくあ、と声を上げ視線を泳がせた。
そして私が首を傾げている事など知りもしないだろう彼はふぅと息を吐いてゆっくりと私の目を見た。
中也「……只今」
貴方「えっ……。お、お帰り、なさい……」
嘘、中也が只今って言った。
私に向かって自分から仕事の類意外の単語を発した。
衝撃やら嬉しいやら色んな物が込上げて来た。
それと同時に泣きそうなのを我慢してまた台所に戻った。
好きな人が自分に向かって言葉を発してくれた。
嬉しいし、何だか片想いしているみたいで変な感じだ。
その後夕飯を食べてる時は何時もと何も変わらなかったけど、『只今』が聞けただけで今日あった嫌なことは頭の片隅からさえも消えて行った。
彼にもっと何かを言ってもらいたい。
貴方「そうだ、今日ね、中也のところの新人が来てたよ」
中也「名前は」
貴方「えっと、確か菊池さんだったかな」
中也「其奴、気をつけた方がいい」
貴方「え？危ない人には見えなかったよ？」
あまりの即答にちょっとびっくりした。
中也が部下の事をそんな風に言う所なんて見たことない。
中也「……異能だ」
貴方「異能？」
中也「自分好みの女が自分に惚れ込む様になるっていうとんでもねェ異能だ」
なるほど。確実に両想いになれる異能って事ね。
女好きには堪らんだろうな。
太宰とか持ってたらやばそう。
貴方「……それ私が狙われてる可能性は？」
中也「ほぼ確実にあるだろうな」
貴方「私あの人趣味じゃない。苦手なタイプ」
中也「……そうか」
そう言った彼の口元には薄っすらと笑みがあった様な気がした。
これって、私の事好きだって自惚れていいの……？
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (
レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました（笑） (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます！頑張って書こうと思います！ (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます！ (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます！いつもゆっくり更新ですが頑張りますね！ (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅野 | 作成日時：2018年4月15日 0時
