Laundry. (ページ14)

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『あ、ごめん。ありがと』

お互い少し気まずくて、無言の時間が続く。でも、離れないように歩くのは真横。

あれ、なんで私ちょっと今ドキドキしたんだろう。
気付きたくない気持ちに蓋をして、こんなのは夏のせいだと言い聞かせる。

「…喉、乾かない？」

『…めっっっちゃ乾いた』

飲み物の屋台を見つけては一目散に2人で向かう。

『何にする？』

「ん〜、俺サイダーにしよっかな」

『じゃあ私も』

本当はコーラが良かったけど、何故か健人と同じのが飲みたかった。

「うっっっま！」

『キンキンやね〜』

「マジでバイト行きたくなくなるな〜」

『せやなぁ…まぁ、行きますか』

「行くかぁ」

2人でサボっちゃおうよ、なんて甘ったるい言葉は
サイダーと一緒に飲み込んだ。

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「お疲れ」

『疲れたぁぁぁぁあ！』

そう言いながら伸びをするA。
バイトも終わってすっかり暗くなった外を見て、昼の祭りを思い出す。

行くならAと行きたいな、とは思いつつ誘う勇気なんてなかった。でも、祭りの日が2人ともバイトだって分かってから何とかしてちょっとでも、2人で何かしたいとか思っていた。

“どうせなら”なんてすました顔で誘ったけれど心臓はバクバクで。りんご飴を食べる君はいつもより幼く見えて、とても愛おしかった。

「ほら、帰るよ」

『しょうがないなぁ』

暑さにやられる帰り道。
“…あ”と言って動きを止める君。

『サイダー、もうぬるくなっちゃった』

「そんな悲しい？サイダーならいつでも飲めるって」

『ちゃうやん、健人とお祭りで買ったっていうのが大事やん』

“最悪や〜”と、あまりに君が残念がるから。

「まだ、屋台出てるかも。サイダーくらいなら残ってるんじゃない？」

『えっ？ホンマ？』

「ほら、行くよ」

サイダーなんかでこんなに喜ぶAを
今だけは俺が独り占めしてもいいだろうか。

「サイダーください、2本」

屋台のおっちゃんから瓶を受け取って2人で人通りの少ない帰り道へ向かう。キンキンのサイダーを受け取った、無邪気に笑う君。

『健人ホンマに神様や』

「Aはちょっと神様を舐めすぎだね」

『えへへ、だって嬉しいんやもん』

「そんなに振ったら危ないって」

『あ、やばいやばい！』

君が瓶を開けると、勢いよく溢れ出すサイダー。
慌てて瓶に口をつける君は、子供っぽいのに色っぽかった。