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数秒か数分か、それよりも長い時間が空いただろうか
情報屋は不意に立ち上がって私と机を挟んで反対側に立つ


a「始末人の意思は尊重する。
君が生きていた時間やその目的も全部否定しない。
でも俺だって俺の目的のためにやることはやるからね。」

『目的?』

a「秘密!さてと始末人さん、今日はもう休んで!
明日は最後の一人、グルッペンの救出作戦を考えるんだからね!」


ちゃんと休むんだよ、と念を押しながら部屋を後にした情報屋

そうか、残りはグルッペン・フューラーだけだったか
林檎を頬張りながらグルッペン・フューラーの資料を手に取り現在の状況を把握する

彼は現在グロル国に罪人として捕らえられている
処刑の予定は今のところなし
地下牢屋に収容されているらしいから詳しい様子は分からない

情報屋の資料から分かるのは恐らく彼は死んではいないということだけ
それだけ分かっていれば十分だ

林檎を食べ終わって体を背もたれに預ける

情報屋から休むように言われたが随分と眠っていたこの体は再び夢を見るのは難しいらしい
閉じる気配のない瞳をもう既に暗くなっていた窓の外へと向けた

視界に入った人物に小さく声が漏れた

そこに居たのは紛れもないひとらんらんだった
精神が壊され命令されたことしか出来ないはずの人間が足を進めて庭に立っていた
周りに人はおらず、恐らく誰かに言われての行動では無い

月を見上げる彼の姿を見て短く息を吐いた
ベット上に置かれていたブランケットを掴み肩にかけ部屋を出る
もちろん向かう場所はひとらんらんのところ

彼は庭のベンチに腰掛けていた

なるべく大きく足音をたてて彼に近づいた
その音に気がついているのかいないのかは分からないが月を見上げたまま微動だにしない


『何故ここにいる。』


問いかけても返事は来ない
そんなことは容易に想像出来ていた

だからこそ今この状況を放っておけない


『誰かに命令された訳でもないだろう。』


相変わらず返事はない
隣に腰掛けて足を組む

彼がここにいるという現実は明らかに彼の意志が働いたという証拠


『聞いているとは思うが、お前の精神は修復可能だ。
気持ち次第でお前は自分自身の意志を取り戻すことが出来る。
つまり治らないのはお前の心が弱いからだ。
しかし、今ここにいるということは少なからず自分の意志を取り戻している。
それはお前も分かっているな?』

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ライ - すごく面白いです!すごく大好きです!主さんのペースでこれからも頑張ってください! (2022年3月27日 22時) (レス) @page9 id: 9516bfdddc (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - 続編おめでとうございます!この作品リメイク前から大好きです!これからも応援しています!! (2022年3月10日 0時) (レス) @page1 id: 4f425976bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らい | 作成日時:2022年3月9日 23時

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