リナリアに苦悶する 6 (ページ8)

今日:3 hit、昨日:41 hit、合計:20,745 hit

257.本気なんだなページ8

＜ベッキョン＞

「…ベッキョナ、魔法っていうのは、案外すぐ解けるものだぞ」

「う…分かってる…」

「今頃、もうベッキョンとのキスなんて忘れてるかもな〜」

「お、おまっ…チャニョラ！！」

ビョンベッキョン、28歳。

今の悩み…

好きな人

(5歳下＆相手の子は恋愛経験ほぼ無し＆相手は好きな人がいる＆しかしキス済み＆それは、おそらく、ファーストキスetc…)

への、アプローチの、仕方を、如何に、するか。

…普通さぁ、この年だったらもう結婚とか、なんなら子どもとかで悩むお年頃なわけですよ…。

しかも俺、恋愛マスター自称してなかったっけ？

前カノに浮気されて振られて無くした自信、取り戻してきたんじゃなかったっけ？

「…Aちゃんから、何も連絡がない」

「するんだよ！！！お前が！！！」

バシバシと叩いてくる同居人、チャニョル。

普段もうるさいのに、今日仕事がうまくいったとかで火曜の夜のくせに飲んでやがるから余計テンションが高い。

「どうしたビョンベッキョン！デートの帰り、あんなに興奮してファーストキス奪った話してきたじゃん！」

『ビョンベッキョン、無事、Aちゃんのファーストキスを奪えました！！』

『………、えぇ！？！？』

…これが賢者タイムってやつ？

さすがに付き合ってもない奴がファーストキス奪うはまずかったかなー、とか…

しかもあのまま興奮しちゃって、追撃”今日はありがとね楽しかったよ今日はゆっくり休んでね”メールをし損ねる、という失態を犯した。

そのために、調子が狂っている…と。

「…なんかさ、お前さ、本気なんだな」

チャニョルはそう言って缶ビールを煽る。

「今までさ、Aに対して消極的だったの、前の彼女に浮気されて振られて自信無くしたからだと思ってたんだけどさ」

空になったビールの缶をふるふると振るチャニョル。

「今までになく、多分Aにゾッコンなんだよ。だから嫌われるの怖くて、行動できないんだろ」

…言われてみれば、そうなのかも、しれない。

俺は、正直、モテた。

女の子なんて、たくさん寄ってきて、よりどりみどり、って感じで。

今まではどちらかというと、追われる側が多かった。

追うとしても、相手が自分に気があることが分かってたから、焦ることは無かったんだ…。

「…報われろよ、ベッキョナ」

「チャニョラ…」

俺がチャニョルの呟きに感動した時。

　♪〜

スマホが、鳴った。

.