リナリアに苦悶する 6 (ページ7)

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256.お仕事ページ7

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「そうかそうか…あ、これで濡れたところ拭いて」

「うん、ありがとう」

「本当に、すみません！！」

「ううん、大丈夫だよ。今日は紅茶の気分でよかった！」

シミにならなさそう、なんて言いながらタオルでスーツを拭くジョンデさん…スーツ…お仕事の休憩時間とかなのかな…？

ミンソギオッパとはどういう関係だろう。

「ジョンデ、この後時間あるか？」

「うん、少しなら」

「じゃあ、もうすぐ閉店時間だから、閉店したらちょっと話そう。新しい紅茶入れてくるよ」

「うん！」

閉店時間まであと20分くらいで、お客さんもジョンデさんしかいなかった。

「Aちゃん、看板、ひっくり返しといてくれる？」

「あ、はい！」

お昼の営業の閉店時間になって、ミンソギオッパに言われたようにお店の扉の看板をCLOSEDにしてお店に戻ると、ミンソギオッパはジョンデさんの向かい側の席に座っていた。

えぇっと…私はどうすれば…。

「Aちゃん、おいでよ」

「あ、はい…」

お邪魔じゃないだろうか、と思いつつ、オッパに呼ばれたので2人の元に向かう。

「この子、うちでバイトしてるAちゃん」

「あ、はじめまして、Aです…」

「はじめまして、キムジョンデといいます。ミンソギヒョンとは、昔付き合いがあって」

「へぇ、そうなんですか」

キムジョンデさんは、よく通る声で、明るい笑顔の男性、という印象を受けた。

「今、なんの仕事してるんだ？」

「今はね、大学で准教授をやってるんだよ」

「えっ、すごい…！」

大学の准教授…大学…か。ちょっと良い思い出は無いけれど。

「へぇ、すごいなぁジョンデ！なんの分野の？」

「主には社会学だね。特にLGBT…セクシャルマイノリティについて研究してるよ」

「セクシャルマイノリティ…」

「うん。Aちゃんは知ってる？」

「あ、いえ、よくは…」

セクシャル、マイノリティ…性的な、少数派。

聞いたことはあるけれど、実際にそのような人と関わったことも無いし…考えることもなかった。

「そうか…ジョンデ」

「ん？」

「連絡先、交換しとかないか？」

「うん、もちろん！スマホ変えちゃってから連絡取れなくなっちゃって、ごめんね」

「ううん、いいよ」

そう言うと2人は連絡先を交換し始めた。

大学…か。キラキラキャンパスライフを…私も送りたかったな…。

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