254.仮の恋人 ページ5
<ジュンミョン>
「…ヒョン、俺、考えたんだけどさ」
「うん」
「Aを、ベッキョニヒョンに譲る方が、いい気がする」
「…は?」
あんだけAちゃんAちゃん言っていたセフンが…一体何があった。
「なんかさ…好き、って、難しいね」
そう言いながら、だらん、と身体をソファに預けるセフン。
「あはは…うん、ようやくわかった?」
「…まぁね」
それからセフンは、最近あったAちゃん関連のことを話してくれた。
「…と、いうわけですよ」
「Aちゃんが、ベッキョンに惚れた…!?」
「…うっ…」
「そしてAちゃんが、セフンの地雷を踏んだ!?」
「う゛っ…」
「Aちゃんの純粋さに、自分の醜さが嫌になった!?」
「ぐわぁっ!もうやめて、ジュンミョニヒョン!」
途中から面白がって言ってやったけど、セフンは案外ちゃんとダメージを受けてるらしく、頭を抱えた。
「悪かったよ」
謝りながら、状況を頭の中で整理する。
Aちゃんはベッキョンのこと好きになるわ、無意識に地雷踏んできて関わるのがちょっと怖くなるわ、自分はAちゃんには合わないんじゃないかと不安になるわ…
「散々だな」
「…うん。だからもう、いっそのことベッキョニヒョンにAを託そうかなって」
半分自暴自棄になったように言うセフン…
「まぁ、そうしてみてもいいんじゃないのか?」
「え?」
俺が言うと、セフンは予想外、というように少し間抜けな顔をこちらに向けた。
「なんだよ、否定して欲しかった?」
そう言うと、セフンは複雑そうな顔をした。
本当は分かっている。
結局は、Aちゃんが誰かのものになるのが嫌なんだろ。
自分のAちゃんへの感情が、恋なのか未だに分からないくせに。
でも、欲しい回答をあげたところで、何も…前に進まないじゃないか。
「だって、Aちゃんがベッキョンの恋人になったからと言って、すぐにセフンから離れていくわけじゃないだろ?」
Aちゃんは、帰る場所がセフンの家しかない。
それに、ベッキョンの家は同居人がいるようだし。しばらくはAちゃんはセフンの家で暮らすことだろう。
「…そう、だけど…」
「試してみればいいじゃないか。ベッキョンにAちゃんを託してみて。仮の恋人みたいにして」
「…う…仮の、恋人…」
「そうでもしないと、ずっと同じことを繰り返すことになるぞ」
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nana(プロフ) - 凄く面白くて大好きな作品です!!更新待ってます!! (2021年9月3日 18時) (レス) id: b477b2d4fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LUKE | 作成日時:2021年8月28日 7時