リナリアに苦悶する 6 (ページ40)

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289.今度は騙されないページ40

＜ベッキョン＞

明日は金曜日…Aちゃんのバイトのシフトが入っている日。

とりあえず、セフンとAちゃんの仲を邪魔する、っていうのは、なかなか難しそうだから…

とにかく、俺はAちゃんにアタックするしかない。

Aちゃんのシフトが入っている日はなるべく行く。

そして隙あらばデートに誘おう。

今までは昼に会うことが多かったから…夜ご飯に誘ってみようかな。

昼と夜では、また違った顔が見れるし、見せられるだろう。

「よし」

明日に備えて、早く寝よう…

という時。

♪〜

スマホが鳴る。

着信…Aちゃん、と表示されている…

どっちだ。

今の時間的に…Aちゃん起きてるか微妙…

もう、騙されないからな。

「もしもし、セフン？」

『…ちぇ、なんでわかったの、面白くないなぁ』

よし！やっぱりな！

…いや、よし！、じゃねぇよ。Aちゃんがよかったよ、そりゃ。

電話の向こうから聞こえてきたのは、ちょっと不満そうな男の声だった。

「どうしたんだよ。俺、明日Aちゃんに会いに行くから早く寝たいんだけど」

それに…

あんまりお前と話すと、お前が…恋愛ができるかもしれないっていうことを、言ってしまいそうになる…

もちろん、告げたほうが、セフンのためになるだろう。

でも、そうしたら俺は圧倒的不利なわけで…

とりあえず、俺は、隠す、という選択肢をとろうと思っている…いくらお人好しでも、ね。

『ヒョン、まだAと仮の恋人になってないの？』

「うっ…」

やめろよ、お前が思うより、仮ですらAちゃんと恋人になるのはめちゃくちゃ難しいんだよ…！！！

お前や俺が思うより、Aちゃんの、お前への気持ちは、重いんだよ…！！！

『まったくもう…そんなんだから、俺、言っちゃったよ』

「…何を？」

『ヒョンと付き合うこと考えてみたら、って』

「お、お前…」

『Aちゃんはお前のこと好きなんだぞ！？恋してるんだぞ！！恋してる相手からなぁ、他の人と付き合った方がいい、なん、て…言われてみろ…』

そう俺は言ったけど、やっぱりセフンには分かんなかったか。

「そしたらなんて？」

「『私とベッキョニオッパが付き合ったら、抱き枕無くなっちゃいますよ？』だってさ」

それは…きっと、Aちゃんの強がりだろうな。

本当は、ショックに違いない。

好きな人から、別の人と付き合ってみたら、と言われて。

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