288.幸せなら ページ39
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「ベッキョニヒョンと、付き合いたいとかはないの?」
…酷いよ、セフンさん。
「…考えて、みたら?」
そんなこと、言うなんて。
考えたことないよ。
セフンさんと付き合うことしか、考えたことなかった。
『いい加減考えてくれてもいいじゃん、俺と付き合うこと』
…いいの?
いっそ、ベッキョニオッパと付き合ってみる?
オッパのことは…好きだし…オッパも私のこと、好きだし…
いや、でも…はじめては…やっぱりセフンさんがいい…
「…いいんですか…?」
「何が?」
「私と…ベッキョニオッパが付き合ったら…抱き枕、無くなっちゃいますよ…?」
そう、少し強がってみる。
ベッキョニオッパと付き合ったら、恋人以外の人に抱き締められて寝るなんて、そんなの…できないよ。
たくさんオッパとデートにも行って、家にいる時間も減っちゃうよ?
…それは、私も寂しい。
「い、いいんですか?」
「うーん…」
少し考えているようなセフンさん…そこは、即否定してほしいですけどね…。
「セフンさんに構ってあげられなくなりますよ?」
本当は、私が惚れている側ですけどね。
「それは…ちょっと寂しいな」
「でしょ!?」
「…でも、」
顔を上げたセフンさんは、少し真剣な顔をしていた。
「Aが幸せなら、それでいいよ」
真っ直ぐな目でそう言ってから、またご飯に目を落とすセフンさん。
ズッキュンと、私の心臓を無意識に撃ち抜いて、何事もなかっかのようにする。まるでアサシン。
…ずるい。いつも一方的。
「…せ、セフンさんといると…私は、幸せ、ですよ…」
絞り出すように、反撃するように…反撃になってないけど…言ってみる。
なんだか、告白みたいだ。
恥ずかしくて、顔は見れなくて、セフンさんの綺麗な手元あたりで目線がおろおろしてしまう。
すると、セフンさんは少し手を止めた。
「…うん、ありがと。でもベッキョニヒョンもAを幸せにしてくれると思うよ」
そう言うと、セフンさんはまた手を動かし始めた。
…どうして、そうやって突き放そうとするの。
散々近くにいるはずなのに、離れているように感じるのは、セフンさんのこういうところのせいだ。
「…そう、ですかね…」
そして、セフンさんの本心を知るのが怖くて、踏み込んで聞けない、自分のせいでも、ある…。
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nana(プロフ) - 凄く面白くて大好きな作品です!!更新待ってます!! (2021年9月3日 18時) (レス) id: b477b2d4fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LUKE | 作成日時:2021年8月28日 7時