34.もったいないな ページ35
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「…で、何の用ですか」
セフンさんは足を組んで、ズズッとコーヒーを啜りながら言う。
「え、えっと…」
ジョンインさんはまだおろおろしたままだ。
セフンさんの威圧感が凄いせいで喋りづらい…？
「あの、ジョンインさん。セフンさんは怖い人じゃないので…緊張しなくて大丈夫ですよ」
私がそう言うと、ジョンインさんはチラッと私の方を見て…一瞬だけ、前髪の隙間から覗く目と、目が合った。
…やっぱり、綺麗な目をしてる。
「俺が怖いってなんだよ」というセフンさんの声があまり聞こえないくらい、その目に吸い寄せられた。
「…えっと、」
やっと開いた唇は、ぽってりしていて、少しセクシーで…
「自分に自信が、無くて…」
そう、絞り出すように言うジョンインさんに対して、
「でしょうね」
冷静に言うセフンさんとは真逆に、
「えぇ！？」
私は、大きな声を出してしまった。
パッと、セフンさんが私の顔を見る。
「…何、A。そんなに驚いて」
「え、いや…もったいないな、って…」
「え…？」
ジョンインさんも、私を驚いたような顔で見た。
「だ、だって…ジョンインさん、綺麗な顔立ちをされてるから…」
私がそう言うと、ジョンインさんはハッとした表情になってから…気のせいか、少し頬を赤らめながら俯いた。
セフンさんは目を細めて、ジロジロと上から下までジョンインさんを見ている。
「身長も高くて体格も良くてスタイルも良いし…お洒落したら、もっと自信が付くんじゃないですかね…？」
私の小さい脳でパッと思いついたアドバイス…
ここに来るほどのことだ。こんなので解決できるわけないんだけど。
「…悩みっていうのは、多くの場合、複数の事象が絡み合って生まれる。自分に自信がないっていうのは、外見にコンプレックスがあるってだけじゃ、ありませんよね？」
セフンさんは冷静にそう言う…うん、そうだよね…。
「…実は、僕、3年前までダンサーをしてたんです」
「ダンサー！？すごい…」
思わずそう言うと、ジトッと見てくるセフンさんとは違い、ジョンインさんは俯いたままフッと笑った。
「でも…3年前怪我をして、踊れなくなりました。ダンス一筋の人生だったので、ショックが大きくて、しばらく引きこもってたんですけど…最近、ちゃんと就職して…でも、職場に馴染めなくて…」
ジョンインさんは、ポツリポツリと話してくれた。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
