25.大人の階段 ページ26
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次の日。
「いってきまーす」
「え…どこいくんですか、セフンさん…」
「ん、ちょっとそこまで散歩」
いつもなら昼寝をするはずの午後。
セフンさんは珍しく、1人で出かけて行った…って、お客さん来たらどうすんのよ。…来ないか、どうせ。
「あれ。セフンくん、出かけちゃったの？」
事務所で作業していたベッキョンさんは、ヘッドホンを外しながら言った。
「はい…珍しく。散歩って言ってましたけど…どこに行くんだか」
「ふーん…女の子のところかもよ〜」
「なっ…！？」
「…冗談だってば、Aちゃん…そんな本気で焦ったような顔しないでよ…」
からかい気味に言ったはずのベッキョンさんに思わず慌ててしまい…本気で申し訳なさそうな顔をさせてしまう。
「じ、冗談…そう、ですよね、あはは…」
…一瞬ドキッとしちゃったじゃん。バカみたい。
「はぁ…」
私はため息をつきながらベッキョンさんの向かい側…いつもお客さんが座る席に座る。
「…Aちゃんってさ、」
パタン、とベッキョンさんはノートパソコンを閉じた。
「セフンに好きになってもらう努力、してる？」
「…え？」
突然、微笑みながらそんなことを言い出すベッキョンさん…
う、確かに…。
「ど、努力、ですか…？」
「うん。努力」
ベッキョンさんは腕を組んで、上から下まで私をジロジロと見る。
…確かに、どうしたら女として見てもらえるんだろうと悩むばかりで、実行には移してこなかった…。
「セフンの好きなタイプは？」
「す、好きなタイプ…お、大人っぽい人、だと、思います…」
あぁ見えて、結構甘えん坊だし…そうなのかな、なんて。
「大人っぽい、か…今のAちゃんは、どちらかというと可愛い感じなんだよね」
「う…」
自分が着ているものを見る…これ、高校生の時から着てるやつじゃん。
最悪、中学生の時からの服もクローゼットにあるし…金欠のせいで、ここ最近服なんて買った記憶がない。
「うーん…例えば…」
ベッキョンさんはまたノートパソコンを開き、カタカタと操作する。
「こういう服とか！」
「…わぁ」
ベッキョンさんが見せてきたのは、落ち着いた色合いで体のラインが綺麗に出るもの。
「こんなの、着たことないです…」
「そっかそっか〜Aちゃんも、そろそろ大人の階段を上るチャンスじゃないの〜？」
お、大人の、階段っ…！！
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
