12.1番嫌いな時間 ページ13
.
湯船…予約しておいたから、ちゃんとお湯が張ってる。
入浴剤を入れて、真っ白にして…
さっさと服を脱いで、下着は下の方に隠すように洗濯機に入れて、タオルを持ってお風呂に入る。
時間との勝負…急いで頭からつま先まで全身を洗って、湯船に浸る。
ポチャン、と全身がお湯に浸かった時。
「Aちゃ〜ん、入るよ〜♪」
甘々な声が聞こえ、ガラッと浴室の扉が開く。
裸…み、見ない見ない。
し、正直…ちょっとだけいつも気になるけど…
セフンさんって、細い割に身体しっかりしてるし、いっつも抱き締められる度に逞しい筋肉を感じて…
危ない危ない。
ぶるぶる、と軽く頭を振って、必死で俯く。
セフンさん、全く隠す気はないんだよな…どういうつもり、なんだか…。
「んふふ〜久しぶりだね、一緒に入るの〜」
ふにゃふにゃとした声と、ジャーッ、というシャワーの音が聞こえる。
これ、すっごく、ドキドキするんだよな、いつも…。
好きな人がシャワーしてる音とか、ゴシゴシって体を洗う音とか…ダメだ、煩悩の塊すぎる、私。
「よし、おっけー！」
キュ、とシャワーを止める音がして…来る、と思い、湯船の端っこになるべく小さくなるように待避する。
「そんな避けられると傷つくんだけど」
そう言いながら、ちゃぽん、と音がして、お湯が揺れ、水位も上がる。
2人分の体積に耐えられず、浴槽からお湯が溢れ出す…。
「ほら、もっとこっち来て」
ぐいっと引き寄せられて、セフンさんの腕の中…背中に、セフンさんの逞しい体を感じる…
私は、この時間が、1番嫌いだ。
…理由？
「ん〜、ちょうどいい湯加減〜、たまにはちゃんと湯船に浸からないとね〜」
…こんだけ、密着してるのに…しかも、裸で。
「A、熱くない？大丈夫？」
セフンさんは、平然としている。
…どう考えても、常識的に考えておかしい。
付き合ってもない家族でもない成人済みの男女が一緒のお風呂に入っているというこの状況。
…絶対、おかしい。
普通の男の人だったら…その…女の人の裸に興奮したりとか…
いや、セフンさんは、私のことを、女として見ていない。
それが肌でひしひしと感じられるから、私はこの時間が、ものすごく、嫌いだ。
セフンさんにとって…この時間は、なんなんだろう。
どういう気持ちで、私とお風呂に入りたがるんだろう…。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
