愛の彫刻は消えない【宇髄天元／煉獄杏寿郎】

black roses ページ8

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「どう？」

スマホで撮ってもらった写真で、自分の肩に入れられたタトゥーを確認した。
そこには黒い薔薇が咲いていた。
花びらの輪郭は痛々しく赤く腫れていて、その生々しさに息を呑んだ。


「派手だろ？」

『うん。素敵。』

「こっから増やしてくから、楽しみにしててよ。」


生き生きと輝く緋(あか)色の瞳に私は満足しきれず、私は宇髄さんのパーカーの裾を引いた。


『宇髄さん、ちょっと肌寒いね。』


下手な嘘のようで、嘘ではない。
寒いのは身体ではないというだけで。


「そう？じゃあ、空調止める？」


意地悪く笑う赤紫に、私は屈しない。


『うん、宇髄さんが暑くなって脱いでくれるなら。』

「Aちゃんそれ、誘ってるんだよね？」


少しだけ間を置いて、小さく頷いた。
しおらしくて、従順な可愛い子であることを表すために。


そこからは、期待通りだった。

すんなりと誘いを受け入れた宇髄さんが、私の髪の毛を引っ張って身体を起こさせると、丸い金属の付いた舌を私の口内にねじ込んだ。
よく手入れされた綺麗な手で、露わになった私の上体を弄(もてあそ)んで、濡れた唇で首筋からぽつぽつと赫い蕾を作っていく。
点々と残された歯形も、甘美な痛みも、2〜3日で消えてしまう刹那の彫刻(タトゥー)だった。


灯りを落とされた室内でやっと宇髄さんがその全貌を明らかにした時、その身体全体に敷き詰められた軌跡(模様)に圧倒された。


「Aちゃんには、特別に見せてやるよ。」

『すごい…宇髄さんの身体自体が芸術(アート)みたい。』

「そういう褒め言葉、好き。」


甘い言葉と、乱暴な身体。
飴と鞭みたいで、堪らない。


「俺たち、きっと相性最高だよ。」


耳元で囁かれる耽美な声で、何度も溶かされて、狂わされた。




こうして、私はどんどん“特別”の深みに嵌っていった。





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