【文スト】もしも貴方が世界から消えたとしたら【短編集】

？？？:終焉 ページ46

この物語はあまりに酷かった。



あまりに理不尽で、報われなかった。




太宰「私は大切な友人を失った」



芥川「僕は愚図と罵り、殺してしまった」



鏡花「私は親友を闇に置き去りにしてしまった」



乱歩「僕は知りすぎたせいで苦しむことになった」



中也「俺は愛されたせいで、愛する者を苦しませ続けた」



敦「僕はあの世界で二度も姉を殺してしまった」



紅葉「私は義理とはいえ唯一の家族を遠ざけ、傷つけてしもうた」



澁澤「私は彼女の思いを知りつつ道具と称した」



与謝野「妾は死ぬとわかっていたのに止めなかった」



国木田「俺は理想を実現出来ず、最善のために見殺しにした」



谷崎「僕は愛のためにナオミを殺された」



樋口「私は自分のために一番の友を忘れてしまった」



ドスト「僕は愛故に心を壊してしまいました」



織田作「俺はあの子に感情を全て教えてやれなかった」



森「私は好奇心のために傷つけた」



ナオミ「私は愛のために殺されましたわ」



エリス「私は歪んだ愛情のために全てを壊されたわ」



夢野「僕は我が儘を言ったからお姉ちゃんを殺してしまった」



ポオ「我輩は仕方ないとは言えど、見殺しにして逃げたのである」



モンゴメリ「私はとてつもない恐怖を覚えさせられた」



綾辻「俺は彼女を永遠に騙し続ける」




そう、誰もが傷つけられ、傷つける物語。



そんな酷すぎる話なのだ。




『もしも・・・・・』




この話の中心人物である少女は続ける。




『もしも貴方が世界から消えたとしたら・・・・・』



『それでも私は、貴方は、』



『世界を歩まなければいけない』




寂しそうな表情で、ふ、と蝋燭の火を吹き消した。



この話はこれでお仕舞いだ。

この小説の続きへ→←ドストエフスキー:過度

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す