【文スト】もしも貴方が世界から消えたとしたら【短編集】

エリス:可愛い娘 ページ30

_____Aside


やぁエリス。ボクはA。男みたいな声に姿、一人称。それでもボクは女の子なんだ。



ある日ボクは運命的にも君を街で見かけてね。とても素敵な人だと思ったんだ。



・・・・・ボクとは正反対な、可愛い女の子の君。一目惚れだったよ。



女同士でもいい。ボクはエリスと恋仲になりたかった。



だからボクは、偶然を装って君に近づき、信頼を得た。



可愛い君がマフィアの一員だって気づいた時は驚いたよ。



それでもエリスに会えるのならば関係ない。



すぐに君はボクを遊び相手にしてくれた。



そこでボクは、とある女の子が好きだと云ったね。



そうしたらエリス、君は自分のことだとは知らずに笑顔で答えたね。




エリス「そんなの、女の子同士だからって気にすることはないわ！好きなのは仕方ないもの！！」




嗚呼エリス、それだけで何れ程嬉しかったことだろう。



ボクは決めた。君を幸せにするって。君が不快だと思うものは消してあげるし、欲しいものは何でもあげる。



・・・・・だから、さ。



君の望みの全部を叶えてはくれない首領は消したよ。



その他にも、邪魔をする奴等は全て。



今、ポートマフィアにいるのはエリスとボクだけだ。



ボクが願いを全て叶えてあげられる。



なのに何故、そんな顔をするの？何故、驚きと恐怖、哀しみの表情を表すの？




『あ、そうか。エリスは異能力だったね。何故消滅しないのか、でしょ？』




エリスが忌々しい首領の異能力だとは知ってるよ、当たり前だ。



ええと、何故消滅しないのか、だったね。



ボクの異能力"僕の時止まり"は、ボクが心から愛したものの時を止める。



ボクは出会った頃のエリスの時を止めたから、エリスはその状態のまま体が停止しているんだ。




『だから死ねないし、消滅もしない』




最高でしょ？



・・・・・・・・・・って。あれ？何でそんな顔をするの？



怒ってるの？君を怒らせたのは_________もしかしてボク？



そっか、怒らせちゃったのか。



エリスを不快にさせるものは消さないと、ね。



バイバイ、エリス。永遠の時を過ごしてね。



いつか必ず、迎えにくるから。

澁澤龍彦:童話→←谷崎兄妹:夢を見た

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す