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脱出 ページ13

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携帯を返そうとしてお姉さんに振り返った。



お姉さんの顔が尋常じゃない程に真っ青になっていた。



『え、お姉さん、如何したの? 顔色が悪いよ』



「なっ……何て事してるんですかぁぁぁぁっ!!」



真っ青な顔で涙目になりながらウチに詰め寄った。

いつの間にか自由になった手をウチの肩に置いて激しく揺さぶる。

痛い痛い、落ち着こうよ。



「今自分が何をしたか分かってるんですかっ!? よりにもよって先輩に……馬鹿、なんて……」



お姉さんはフラフラと壁に寄り掛かり、項垂れてしまった。



「……私、死ぬかも……否っ! 絶対死ぬっ! 先輩に殺されるっ!」

『やだなぁお姉さん。そんな大袈裟なぁ』

「貴女は先輩の恐ろしさを知らないからそんな事云えるんですよっ!」



お姉さんは深い溜息を吐いてしゃがみ込んでしまった。



そんなに怖い先輩なのか?



『……えっと、お姉さん? だ、大丈夫だよ。結局その先輩さん助けに来てくれないみたいだし――』





「おい、何騒いでるっ!」





「『っ!?』」



突然ドアが開き、男が入って来た。



「うおっ! 何だこの鼠はっ!」



部屋一杯に集まった鼠達を見下ろして声を上げる男。





《此奴か? 悪い奴は?》





大き目の鼠がそう云ってウチを見上げた。



途端に、他の鼠達も視線を此方に向ける。



『そうだよ』



ウチが答えると、鼠の耳がピクリと動いた。



《悪い奴なら、齧っても良いよな》





それが合図かの様に、一斉に鼠達が男に集まって行く。



「な、何だ此奴等っ!」



足元から這い上がって来る鼠達に驚き、男は後ろに下がった。

手で払い除け様とするが、その手に鼠が数匹噛り付いた。



「ぎゃあああっ!」



驚いた男が地面に倒れ、鼠達の山に埋もれてしまった。



《Aッ! 今の内に早く逃げろっ!》

『っ! 分かったっ! ありがとう!』



鼠にお礼を云って、お姉さんと一緒に部屋を飛び出した。



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夜廻(プロフ) - 続編待ってました!無理しないで、頑張って下さい!!!! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 44c5ec9c50 (このIDを非表示/違反報告)
ノア@情緒不安定(プロフ) - ちぃちゃんの性格が好き。 (2018年3月17日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
高杉アヤ(プロフ) - 何この作者神かよ女神かよ!!(←羨まし過ぎて逆に尊敬してる奴) (2018年2月19日 21時) (レス) id: bdc5f38589 (このIDを非表示/違反報告)
sakaruma1031(プロフ) - とても、面白いです。続きが気になります! (2018年2月18日 11時) (レス) id: 7de756cf73 (このIDを非表示/違反報告)
ヨッシー(プロフ) - やつがれえええええ!良くやった!ひぐっちゃんおめでとう! (2018年2月7日 19時) (レス) id: 71a49373db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年1月19日 23時

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