皆の絆は知っている

いない?! ページ12

〜若武side〜

ベッドの上にうつぶせにねっころがった。
あー、寝れねー、くそ。
だいたい、いま何時だよ。
隣にある時計に目をやる。

ーー22:09ーー

まだ早いじゃないか。
あーーー
我慢できねー
指を髪にいれて、クシャクシャとかき混ぜた。
だめだ。
跳ね起きて、さっさと服を着替えた。

音が立たないように、静かに家を後にした。
チャリに飛び乗って、必死に飛ばした。
ふと、黒木の言葉を思い出す。

「まだ、誰も動かない方がいい。」

クソ。
様子を見るぐらいいいだろ。
窓から、そっと覗くだけだ。
まてよ。
これってストーカー行為っていうのか?
いや、大丈夫。
俺は、アーヤの仲間なんだ。そこら辺のオヤジとは違う。

窓から見えるアーヤの姿を想像した。
うつ伏せになって、泣いていたらどうしよう、と思う。
我慢できなくて、家に入ってしまいそうだ。
心配で、震え上がっていると、誰かが反対側からチャリを飛ばしていた。
上杉かあ?!?!?!

「おい、おまえ、ここで何やってんだ？どこ行くんだ？」
「そう聞いてるおまえはどうなんだよ!」
「俺は、アーヤの様子を見に来たんだ。」
「黒木が動くなって言ってただろーが。バカ武!」
「そう言うおまえだって俺と同じ目的だろ?!アホ杉」
「。。。。」
「。。。。」
「窓から覗くだけなら、いいよ、な?」
「ああ。」

俺らは、息を殺してアーヤの部屋の窓に目をやる。
するとそこには。。。
誰もいない?!?!?!
それどころか、クローゼットは全開になっていて、服が入っていない。
机も、ガラーンとしている。

顔を見合わせた。
「信じらんねー」
「誘拐されたのかあ⁉」
上杉は舌打ちをした。
「おまえ、マジでばかなのかなあ。誘拐で、服をキレイに持ってく訳ねーだろ。」
「じゃあ、引っ越したのかあ⁉」
「いや、母親の車がある。」
「。。。」
「どーするんだよ。俺ら。」
ポケットに突っ込んであったスマホを出し、時間を確認した。
「23:24分だ。忍び込むか？」
「親に見つかったらどーすんだ。つーか、窓から覗くだけだって約束だったろ？明日の集合で話せばいい。もしかしたら、立花は学校に行ってるかもしれない。」
「そーだな。多数決で方針を決めればいいよ、な。」
「りょーかいだ。」
「じゃな。」

チャリに乗って、家に向かった。
ちくしょー、これじゃあ、もっと寝れねーじゃねーかよ。
舌打ちをした。
今日は徹夜だな。

家出→←また作者登場

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す