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赤葦side
「ふぅ………」
「あ、終わった？」
「うん。」
俺の前にあるのは、どちらが犯人か分からないほどボコボコにされた男。
……うん、ちょっと男に同情できるわ。
Aは我を取り戻したようで、いつもの表情に戻っていた。
ふと周りを見ると、他の人は、Aが人を殴ったりするところを初めて見た人が多く、しかもAは撃たれていたはずなのにすごく動いているので、みんなびっくりした顔をして固まっていた。
「え……と………どういう事なんだ？」
最初に口を開いたのは、元烏野の主将の澤村さんだった。
「えーと………私、撃たれた様に死んだふりしてたんですよ。で、男が油断した隙に殴りかかったんです。」
淡々と説明するA。
「まあとりあえず…………助かったという事です。犯人はこの男だけでしょうし。」
そう言うと、一瞬静かになったが、すぐに騒がしくなった。
皆安堵の表情を浮かべていて、烏野の元マネージャーの子は安心して泣いていた。
「Aざぁぁぁん死んでなぐでよがっだぁぁぁぁ」
「仁花ちゃん、怪我はない？
………とりあえず、涙拭いて？」
皆につられて、俺の表情も緩くなっていく。
「……あ、警察に電話……」
俺が1.1.0と打って電話しようとすると、孤爪が俺の腕をとった。
「？……どうしたんだ？」
「警察は………ここに居るから」
孤爪が視線を横にやると、そこには男を手錠にかけている黒尾さんが。
そういえば、黒尾さん警察官だっけ。
…………警察官のくせに、なんで捕まったんだよ。
これを言っては終わりだと思い、俺は何も言わないことにした。
「キャァァッ！！Aさんっ！？」
「っ！？」
谷地さんの悲鳴が聞こえてきたので、振り返る。
そこには、谷地さんにもたれかかって右肩を血だらけにしているAがいた。
「……っ！？Aっ！？どうしたんだよその肩っ！」
急いでAに駆け寄って床に寝かせる。
右肩を押さえ込んで、息を荒くしている。
「……殴り、かかってる時に、いつの、まに、か撃たれてたの……」
声を出すのもしんどそうで、途切れ途切れになりながらも必死に話すA。
さっきの元気なんて想像も出来ない様な状態だった。
「は………マジかよ…………」
男への殺意が湧いてきたが、今はAが優先だ。
「とりあえず、救急車！！」
今度こそは本当に無事でいてくれよ………
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作者名：＊フィラ＊ x他2人 | 作成日時：2015年2月17日 20時
