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第二話 怪盗一目惚れ ページ5

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 光の消えた周囲に、Aは慌てて辺りを見渡した。
 今や廊下は一寸先が闇で、今廊下奥から何かが自分に迫ってきても、それを対処する自信はAになかった。

 階下は大丈夫だろうかと、Aは心配になった。
 広大な土地を誇る屋敷の造りが裏目に出て、階下で何が起きているのかAには全くわからなかった。

 宝石の無事を祈りながらAは闇に包まれた廊下で数分を過ごした。


 そして次々に廊下の電灯がつき始めて、Aはようやく安堵の息を漏らした。

 この様子では怪盗キッドも館外に出てしまっただろうかと思いながら、Aは背後の窓を眺めた。
 先ほどまで気がつかなかったが、夜空には鏡のような満月が登っており、その神秘的な光景に、思わず場を忘れてAは空を見つめた。

 しかしその束の間の安らぎを掻き消すように、突如、ワッとAの背後が騒がしくなった。

 人の声に加えて幾つもの足音がし、一体何事かと、Aは音がする廊下の方を見た。
 足音は、猪が走るごとき勢いでAのいる東廊下に迫っていた。Aは不安な気持ちで、じっと廊下の奥を見た。

 すると数秒後、先の角から白い影が飛び出して、Aのいる方へと曲がってきた。

 それが怪盗キッドだとA気がついた時には、彼はもう数メートルのところにいた。
 急な事態に、体は石になったかのようで、Aは迫ってくる怪盗キッドから目が離せなかった。

 あと僅か二、三メートルの距離。
 ほんの一瞬彼が目を見開いたように見えた。

 ぶつかるまであと一秒もない。
 これ以上下がることもできない。
 動かせぬ体のかわりに、咄嗟にAは目を固く瞑った。

 その途端、軽い衝撃の後に、何故かふわりと体が宙に浮く感じがした。

「へ…?」

 Aは妙な感覚に、目を恐る恐る開いた。何故か目の前が一面真っ白だった。しかし、それよりも気になるのは、全身を締め付ける感覚だった。

 Aが事態を掴めぬ間にも、浮遊感は増し、そんな事態に肝を抜かしそうなAの頭上から声が降ってきた。

「お嬢さん」

 ハッと見上げると、間近に怪盗キッドの顔が見え、Aは息を飲んだ。

 自分は今、彼の腕の中に収まっているのだ。
 Aがそれを悟った時、彼女の目の前でスプレーが噴射された。

「少し失礼」

 怪盗キッドがそう言ったのが聞こえたものの、Aは突然意識が朦朧とし始め、返事も動きもできなかった。

 

怪盗一目惚れ侠←怪盗キッドの予告状



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- 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月22日 2時

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