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第十三話 怪盗と街歩き ページ38

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 いつもは休日も大した外出をせず過ごすものだから、Aは外の空気を目一杯楽しもうと、辺りを忙しなく見渡した。

 夢中で歩くその拍子に、うっかり電柱にぶつかりそうになったAの手を掴み、キッドが自身に引き寄せる。
 キッドが電柱との衝突から助けてくれたのだと気がつくと、Aは恥ずかしげに「ありがとう」と微笑んだ。

「何だか落ち着かないの。こんな風に人と外に出たのなんて半月ぶりだから…」

 照れた様子で、Aはもう一度街並みを見渡す。半月ぶりという言葉に、キッドは思わず問いかけた。

「他の何方かと出かけたりはするんですね」

「そうね……月に一度くらいは」

 誰と、などと口が裂けても聞けなかった。
 キッドはAの私生活のことを自分から聞いて良いものかわからなかったし、あまりわかりたくもなかった。

 自分が知らぬAの姿を他人が安安とみていることや、彼女の私生活に他者の存在があるなんていう当然の事実に、見て見ぬふりを貫きたかった。

 しかし、Aはそんなキッドに気づかず話を進め、「あそこに古本屋があるでしょう?」と指をさした。


「あそこ、結構な穴場で…色んな本が置いてるの。古いアーティストの雑誌もあるし、研究者が買うような古典も、それにマジックの本だって探せばきっと見つかるでしょうね」

 まあ、貴方は読む必要がないかしら、とAは言った後に苦笑を漏らした。


「休日はよくアンナ…っていう同僚の子とあそこに行くのよ。パーティに行く柄でもないし、買い物もそんなに行かないから」

「…他には?」とキッドはうっかり食いつくように尋ね、言ってから自分のあからさまな態度にハッとした。

 Aはキッドのいう『他』が一体何を指すのかうまく読み取れず、「他って?」と聞き直した。

「ですから、その…異性…いや恋人みたいな方と」

 最後の最後で『恋人みたい(・・・)』と曖昧にしたのは、まだ聞きもしていない異性の存在について、我ながら呆れるほどの対抗心があったからだ。

 Aはキッドの問いかけに、狐につままれたような顔になった。その後、この男は本気で言っているのだろうかと眉を顰めそうになった。

 

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- 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月22日 2時

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