怪盗キッドの訪問 ページ36
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「いや何、この辺りの道がわかりませんで…郵便局まで案内していただけませんかの…」
「えぇ勿論です…でも、どうして私の名をご存知なのでしょう」
「そりゃ外に出たらわかりますわい……」
「あんたに会いたいっていう人がおるんじゃよ…」と老人はより小さな声で言った。Aは虚をつかれ、咄嗟に開け放たれている裏口から外を見た。
もしかして、キッドが…と思い、急いで老人に手を差し伸べた。
そして、丁度よく二人の様子を窺いに降りてきていたアンナに、Aは「おじいちゃんに道案内をしてきてもいいかしら」と尋ねた
そうくると予め踏んでいたのか、アンナは快く頷き「昼も一緒に食べなさいな、執事には適当に言っておくから。今度はしっかり食べるのよ」とさえ付け加えてくれるのだった。
老人と裏門を出て真っ先にAは辺りを見渡した。人の往来が多く、キッドと思しき人物は見つけ辛い。
Aは側でAの手に支えられている老人に尋ねかけた。
「その私に会いたいという方は、一体どちらにいらっしゃるんです?」
すると、老人は覚束ない動きで指をさし、あの角のところにいると言った。Aは逸る気持ちを抑えて、老人の歩調に合わせ、ゆっくりと角に向かった。
けれど、角を曲がってもキッドらしき男は一人としていない。
聞いた話と違うことにAは不安が胸に掠め、背後の老人を見てそして身体を強張らせた。
その老人は今や曲がった背中も元に戻り、薄くひらいていた目は大きく開かれ眼光鋭くAを見下ろしていた。
「……例え身に覚えのあることを言っていても、ワシのような見知らぬ者について来るとは…」
危険な目に遭ってもおかしくない。
独り言のようにそう言って、いきなり老人はAの肩を掴んだ。Aは態度の怪しい老人を前にして、騙されたのだと気がついた。
今まで老人を支えていた手は、反対に強く掴まれていて逃げ出せない。
Aは目いっぱいに恐怖を漲らせた。
しかし、その途端老人がAから手を離し、老人自身の顔に手を伸ばした。
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恋 - 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
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