真剣勝負(本気)、とは ページ1
*
▽(暫く)鈴村side
ピッと笛が鳴り、すぐに伊月先輩から回ってきたボールを受け取り、バウンドさせる。
目の前に立つのは、まさかの緑間だ。鋭く睨むような視線に、少し苦笑いしてしまう。
「やっと来たか…待ちくたびれたのだよ」
「え、お前…俺のこと待ってたの?」
「あれだけ堂々と宣戦布告をしておいて、今更とぼけるとは……馬鹿め」
緑間の思ってもみなかった台詞が飛び出してきたので聞き返せば、ため息をつかれた。
思わずイラッとしたのは仕方ない。ただの生理現象だ(違う)
「…『今年コールド負けするのはお前らだ』そう言っていたのだよ。」
「…あぁ。アレ、別にお前に対して言ったわけじゃないよ」
「…は?」
予想外の答えだったのか、彼は意味がわからないとでも言いたげに眉間の皺を深める。
相変わらずボールから目は離さないけど。
そんな緑間を警戒するのを忘れずに、ボールを庇いつつドリブルを続ける。
「“お前”じゃなくて、“お前のいる”秀徳に言ったんだよ」
「…!」
このままボールを打ち続けても時間を無駄にするだけだし、だからといって下手に前に出ればボールを取られる可能性が高い。…さて、どうしたものか。
ちらりとゴールを見れば、秀徳の先輩達が行かせまいかと言いたげに目を光らせている。
…なるほど。
後に勢いよく2,3歩下がったのち、そのまま前に加速する。
左と見せかけての右…と、見せかけての左。←
「……なっ」
「緑間を抜いた…!?ってか、速ぇ……っ!」
「誰かアイツを止めろ!!」
俺の動きが読めなかったのか、少し反応が遅れた緑間の姿がどんどん遠くなっていく。
とりあえず俺を止めるべく、行くとこ行くとこで何とか俺をブロックしようと奮闘する秀徳メンバー。…けど、もう遅い。
ゴールから約7,8mほど離れたところでぴたりと足を止める。このまま俺がゴールに突っ込んでいくとでも思ったのか、ブロック体制を固めた彼らの表情は、警戒から困惑へと変わる。
ボールを手に取れば、俺がこれからすることを理解したのか、慌てて飛び出してきた。
……ひっかかった。
「ゴール下、ガラ空きですよ」
考えてみよう、ゴールから7,8mほど離れている場所は何処を指すのか。
ボールは何にも邪魔されることなく宙を舞う。
数瞬遅れて、静かになったコートに小さな摩擦音が響いた。
122人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アイスクリーム(プロフ) - はじめまして。この作品すごく楽しく読ませてもらいました。無理のないように更新を頑張ってください。茶川さんと虹村さんが仲がいいところがかなり好きです。応援してます。 (2020年5月3日 1時) (レス) id: 88f513c2be (このIDを非表示/違反報告)
十夜 - 私は中でも茶川ちゃん推しだからだと思うけどそろそろバスケでも活躍して欲しかったり(( (2019年7月16日 2時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 小冬さん» ありがとうございます!完結までは時間がかかりますが、付き合ってくれると幸いです! (2019年7月6日 8時) (レス) id: b62f39a03d (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - とても面白かったです!!初めから最後まで夢中になって読みました。これからの先が、とてもおもしろそうです!!楽しみにしています。頑張ってください! (2019年6月29日 14時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 十夜さん» イチャつく…考えてみますね← (2019年4月30日 8時) (レス) id: b62f39a03d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ