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▽鈴村side


失点を挽回するその分、火神の乱暴なプレーが目立ってきた第3Q後半。
彼が突っ走っているせいで、チームの連携も崩れかけている。
火神が緑間を止めているから、点差は縮まってきているのは事実なのだが。

しかし。

秀徳との点差が1桁になった直後…緑間を追って跳ぼうとした火神の膝が、力が入らずがくりと折れた。
これはもしかして、


「エネルギー切れ……?」
「みたいね」


俺の呟きにカントクが返事をした、ということは……そういうことなのだろう。
それから、一度は詰めた点差がまた少し離れたところで第3Qが終わった。



_____




「くそ」



呟いて、乱暴にベンチに座る火神。随分と荒れている。



「火神、熱くなりすぎだ。もっと周り見ろよ」


そんな火神を見て、静かに諌める伊月先輩。


「そうだ。それにさっきのは行くとこじゃねーだろ。一度戻して…」
「戻してパス回してどうすんだよ」
「あ?」


伊月先輩の言葉を受けて、日向先輩がそう付け足せば、火神が低い声で吐き捨てた。
あぁ……日向先輩の眉間のシワが……

そんな彼のMO5(マジで怒る5秒前)に気づかないのか、彼は爛々とした目のまま、コートを睨みながら言う。



「現状、秀徳と渡り合えるのはオレだけだろ。今必要なのはチームプレーじゃねえ。オレが点を取ることだ」

「……」


その目は、獲物に飢えた野獣のようだ。
と、そんな火神の前に、影がさした。


____ガッ!


鈍い音がした次の瞬間には、火神が頬を押さえて倒れていた。
黒子が火神を殴った。
そう周りが認識するのには数瞬かかっただろう。(関さん達は知ってただろうけど。)



「バスケは一人でやるものじゃないでしょう」



皆が唖然とする中、黒子の冷たい声が響く。



「みんなで仲良く頑張りゃ負けてもいいのかよ!?勝たなきゃ何のイミもねぇよ」
「一人で勝ってもイミなんかないだろ」

「…!」



火神は黒子の襟首を掴んで怒鳴るが、黒子は動じない。
表情はいつもと変わらないように見えるが、口調は普段の敬語ではなく厳しいものだ。



「キセキの世代倒すって言ってたのに彼らと同じ考えでどうすんだ」



どうやら、怒りというのは人によっては敬語も抜けてしまう賜物らしい。

〃→←〃



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藍斗 - おもしろかったです! 更新頑張ってください 応援してます! (2016年9月10日 11時) (レス) id: 74bee11643 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユキ | 作者ホームページ:  
作成日時:2016年6月4日 10時

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