【募集企画】暗い軌条にカンテラを【一時締切（隊員）】

世界観・企画概要【必読】 ページ1

【世界観】
　明治５年。
　新橋・横浜間に鉄道が開通して、2022年現在で150年となる。


　黒煙と共に鳴り響く汽笛は、まさに文明開化の音と言っても差し支えなかっただろう。聞くところによると、初めて蒸気機関車と対面した人々は、その豪勢な内装を見て靴を脱いで乗車したという。
　そんなところから始まった日本の鉄道は、明治23年には電気鉄道が始まり、昭和27年に現在の銀座線となる日本初、そしてアジア初の地下鉄が開業。昭和39年には東京オリンピックの開会に合わせて、東海道新幹線が開業し、今では世界一乗降客数が多い駅を国内に抱える程となった。
　初めは西欧諸国の真似事から始まった日本の鉄道事業だったが、新幹線という新たな友人を得て「もはや戦後ではない」という言葉通り目覚ましい発展を遂げ、新しい時代を突き進んだ。


　しかし日本の鉄道史は明るい話ばかりではない。


　昭和27年に日本初の地下鉄が開業する37年前、大正４年に逓信省の郵便物輸送用地下軌道が開通する。大正14年には宮城電気鉄道で、そして昭和２年には浅草−上野間に東京地下鉄道が開通するが、そのいずこでも「化け物が出た」という声が上がった。

　上はこの現場の声を「長期に亘る地下での労働による疲労で幻覚を見ている」としてまともに取り合わず、逃亡者が出た際にはその後を追わず次々に新しい労働者を雇った。しかしおかしなことに、つい先日現場へ投入した労働者からも「化け物がいた」という声が出る。
　「このままでは工事が遅々として進まない」と思った上層部は一度、自分達もその「化け物」が出たという報告のあった場所へ赴いた。するとどうだろう、地下に労働者達がぽっかりと開けた穴の奥、暗闇の向こうから何やら声のようなものが聞こえる。
　風の音ではない。穴は開通していないのだから、空気が音を立てて通り抜ける先など無い。
　目を凝らしていると、微かな光が見えた。先に誰もいないのに、光？
　違う、赤い。赤い光が、まるで瞬きでもするかのように一度消えて、また光った。


　瞬き。
　ハッとした。誰かの息を呑む音が聞こえた瞬間、視界が地面に打ち付けられた。

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