二重人格:Kanta ﾘｸ ◎ ページ32
パリン！と響くマグカップの割れる音、そして髪の毛が引っ張られる感覚。目の端から涙が零れ落ちる私を見ても彼は真顔のままだった。
朝起こす時間を間違えた。きっかけはそれ。彼は今日いつもより早く家を出なきゃいけなかったらしく、いつもより15分早く起こして！と言われてたのにすっかり忘れていた。床に散らばる陶器の欠片を紙袋に入れながら早く夜が訪れて欲しいと切に願う。
『...朝のカンタくんは怖い』
1人の部屋に震えた声が消えていった。彼が家を出て30分も経つのに私は無気力に襲われていて上手く行動できない。カンタくんが仕事をする代わりに私は家のことを全てやる。それは同居を始めた当初からの約束だった。ようやく動けるようになったのは1時間半が経過した頃で、憂鬱になりながら洗濯を回した。
異変に気付いたのは同居を初めてから1週間後の事、朝起きてきた彼にビンタされた時だ。鼻歌歌うな、不快。それだけの理由で殴られた私は仕事から帰ってくる彼が心底怖かった。なのに帰ってきた彼はニコニコといつもの彼のまま。きっと彼は二重人格で、スイッチは相方のトミーさん。だから私は願うのだ、早くトミーさんに優しいスイッチを入れて貰ってから帰ってきて欲しいと。
｢ただいま〜！｣
軽やかな彼の声。ああ、これがカンタくんだ。エプロンをつけたまま玄関まで迎えに行くと、彼はその場で手を広げて待ってる。
｢...コロッケ？｣
『正解！今日コロッケだよ〜！』
｢えー！嬉しい！ありがとう！今日も可愛いね〜｣
『へへ、ありがとう。手洗ってきて？』
｢はぁい｣
朝の彼とは全く違うカンタくん。夜に朝の事を指摘したことは無い。私がスイッチを入れてしまうのが怖いから。
ご飯を食べ終えて、一緒にお風呂に入ると甘い愛が降り注ぐ。
｢ねぇ、してもいい...？｣
『ん、いいよ...』
｢はぁ...可愛い、だいすき...｣
寝室に辿り着けず脱衣所でそのまま繋がった。後ろから私を抱き締め腰を動かす彼は、何度も何度も愛を伝えてくれる。溶けるほどの甘いキスと、熱く強く付けるキスマーク、そして的確に私に触れる手がすごく愛おしくてお願いだからこれが一生続けばいいとまで思う。
『わたしのこと、すき？』
｢すきっ、Aだいすきだよ...｣
しかしやはり朝になると彼は人が変わる。
｢朝ご飯白飯が良かったわ。気が利かねぇな。｣
『...ごめんなさい』
神様お願いだから、夜の彼を私から奪わないで。
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むう - めちゃくちゃ大好きです！これからも応援してます！ (2022年5月7日 22時) (
レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです！！ (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴあ
| 作成日時：2020年3月11日 21時
