腹黒:Tommy リク ページ26
*私の他作品″面倒くさがりの俺と天然気質の彼女″のifの世界
思えばやはり、初めに浮かんだ違和感を信じるべきだった。
『あははっ!未だに私の夫は可愛いふぅを信じてるよ〜笑』
そんな嘲笑を含んだ言葉を愛しの妻の口から聞くことになるとは全く思って無かった。たまたま彼女の撮影部屋に呼びに行った時に聞こえた言葉。恐らく誰かに電話をしているような口ぶり。同じYouTubeクリエイターとして出会い、恋をして、結婚にまで至ったAという女性は皆から愛される人だ。何故なら天真爛漫で無邪気で淀みのない心を持つ人だからで、勿論その性格をただのキャラだと思った時期もあったけど、こちらの下心が見え透いてしまう程に彼女は真っ白でそんな所が愛らしいと思っていた。その今まで見てきた彼女を全てひっくり返すような言葉だった。
今自分が聞いた事柄が事実だとは受け入れ難くて、扉の前で立ち尽くしているとひょこっと見知った顔が俺を覗き込んだ。
チ「どうしました?体調悪いですか?」
「っ、チー...おれ、今までA...」
チ「あー...屋上でも行きます?」
頭がいっぱいいっぱいでとりあえず彼女について屋上に上がると、チーは腕を組み振り向いた。
チ「それで、ふぅちゃんの裏の顔に気付いたと言うことでよろしいですかね?」
「はっ?お前...気付いてたの?」
チ「まぁ同じ匂いがする人間なのはすぐ分かりますよ。私もあれしてたんで。」
「じゃあ、なんで言って...」
チ「なんで言わなかったかですか?そりゃ富永さんは私よりも彼女を信じるに決まってるからです。それに今のところふぅちゃんは誰にも悪い事はしてませんし、富永さんもキイチたちもあそこまで表を信じきってるなら私が変な水を差さない方が良いですよね?」
「ちょ、カンタは...?」
チ「奪われちゃ困るんで仲良くなってもいいけどこんな人だからって伝えてましたよ。」
俺が幸せそうに彼女に対して惚気を言ってた事や、特に誰も被害を受けていないことを考え黙認してたらしいチーの話を回らない頭で聞いてようやく俺は騙されていた事に気づいた。
チ「富永さん遅いっすよ流石に」
彼女はふっと鼻で笑い、屋上を出ていった。後に残された俺には肌寒い風が吹き付けていた。
『ともく〜ん!一緒に動画撮ろ〜?』
今日も彼女の無邪気な声が聞こえてくる。惚れたら負けだと最初に言ったのは誰だろう。俺にはこのトリックのタネを知っても彼女を嫌いになることなんて出来なかった。
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むう - めちゃくちゃ大好きです!これからも応援してます! (2022年5月7日 22時) (レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします! (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです!! (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2020年3月11日 21時