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八挺:漆黒 ページ9

〜棕櫚 side〜




あれは、ただの霊じゃない。




ばぁちゃんの部屋の外、
薄暗い廊下で

俺はひとり
呆然としていた。





話は
俺が武尊たちと別れた
あの帰り道まで遡る。


夕日に照らされた田んぼ道、

自分の影の横に
突然もうひとつの影が現れたのだ。



影は俺に問う。


「俺のことが見える?」と。



その声は
今日の川原で聞いた
若い男の声だった。



そのときの俺は
まだ平常心でいられた。


あぁ、
やっぱり霊だったんだなって思って、


「うん、見える」


と声の方へ振り返った。





しかし
その瞬間、

俺は自分の眼を疑った。






その声の主は、




姿そのものが「影」だったのだ。


人の形の
真っ黒な物体が

俺の後ろでふわふわと浮遊している。





俺は今までに沢山の霊を見てきたが

顔も確認できないほど
漆黒に染まった霊魂と出会うのは

初めてだった。



怖い。





純粋に、そう思った。




そいつからは
悪霊以上の危険な匂いを感じたから。




俺が思わず後ずさると
漆黒のそいつは


「俺が見えるって凄いねぇ!
なかなかおらんよね!」


なんて陽気な口調で話かけてくる。



その後
無視して歩き続けても

そいつは嬉しそうに
俺の後をついてくる。



「久しぶりに人と話した〜」

「君 何歳?
イケメンってよく言われん?」


「さっき魚掴んでたよね!
凄かったわぁ」


「ねぇねぇねぇ」







すごい話しかけてくる。


邪悪なオーラ放ってるくせにフレンドリーなのが
逆に怖い。




見える、と答えてしまったことを
後悔した。



「霊は無視するべき」という
姉ちゃんの教えは正しかった。





とりあえず俺は
ペラペラ喋る黒い影を
背後に背負ったまま


家の鳥居をくぐった。




そして、玄関で
ばぁちゃんに助けを求めると



ばぁちゃんが
鬼のような形相で駆けつけて来、


霊縄で
その黒い影のみを縛り上げ



除霊部屋へと
引きずっていったのである。




さらに

「棕櫚ちゃんは部屋に来ちゃだめ」
と ばぁちゃんに言われた。




これで


これまでの事の流れと、

俺が何故
廊下でひとり体育座りをしているのかが

お分かりいただけたと思う。










・・・ばぁちゃん大丈夫かな。



絶対、あの黒い男は霊じゃない。
もっと邪な「何か」だ。



そんなやつと
部屋で一対一。




心配だ。





すると、部屋から
話し声が聞こえてきた。



俺はバレないように
そっと、部屋の襖に耳を押し当てる。

九挺:邪→←七挺:声



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スズラン(プロフ) - アーシェ£さん» いえいえ!ですが、楽しみに待ってます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - スズランさん» すみません今週中には更新いたします!ありがとうございます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - いつ更新されますでしょうか?続きが気になります! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - 白紙さん» ほんとですか!嬉しいですありがとうございます!頑張ります^^! (2015年1月10日 11時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
白紙 - すごい読みやすくて面白いです!投稿頑張ってください。 (2015年1月8日 12時) (レス) id: 28fb1f4f57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:逃避 x他1人 | 作成日時:2014年10月27日 1時

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