二十七挺:屋根の上 ページ28
〜A side〜
火枝は地上に降りるや否や
「絶対Aちゃん俺に釘づけだったっしょ」とか言ってはしゃいでいた。
すぐそこに化物いるのに…。
ハラハラしていると
やはり化物が攻撃をしかけてきた。
神様と火枝は何かを言い合いながら
攻撃をかわしていく。
その動きを見て、ぞっとした。
尋常じゃないくらい素早いのだ。
化物も、神様も、火枝も。
人間が踏み入ってはならない領域に感じた。
今この場にいる人間は私だけだと思うと突然恐ろしくなった。
こんな光景、
きっと誰も信じてくれない。
棕櫚が見てたら大喜びするだろうに。
そのとき、神様が消えてしまった。
一瞬、触手に叩き潰されたように見えて叫びそうになった。
『しんだ、しんだ』
化物の声がする。
何故こんなに脳内に響く声なのか。
まったく気味が悪い。
しかし、神様は
拝殿にそびえ立つ大きな木の上に移動していた。
そこで何かごそごそと準備をしていた。
あの御神木の上が神様の家なのだろうか。
ボロボロになった神様を癒そうと
風もないのに葉がざわざわと音を立てていた。
その神々しい景色にしばらく見とれていた。
すると
ずしんという音がした。
驚いて視線を化物の方に戻すと、
火枝が必死に触手を避けていた。
あの化物は本当に火枝を殺す気だ。
触手の先が刃物のようにとがり一瞬光って見えた。
時々危ないときがあって
手が汗ばんでいく。
火)「Aちゃん！
俺がこいつに勝ったら一緒に死のう！！」
突然そう叫ばれた。
こんな状況でもそんなこというのかあの妖怪。
呆れた。
A)「やだ！！！」
いいわけがない。
いくらさっき、
危ない時に助けてくれたとき
ちょっと
ちょっとだけ、
姿を見て安心してしまったからって。
やっぱり私はお前を軽蔑する。
火)「あ〜
じゃあ 『がんばれ』って言ってぇ！！」
必死な声が聞こえる。
化物がじりじりと火枝に距離を詰めていく。
このままではやられてしまうのではいか。
でもまぁ別になんの面識もない妖怪がここで死んだって
私は…
………私は。
A)「……がんばれ」
ぼそっと呟いた。
きっと彼には聞こえなかっただろう。
そのとき、
火枝は触手を避け切ると
ふわりと飛び上がり、
あの、「影」の姿になった。
いや、あのときよりずっと巨大だった。
まるで夜の闇が具現化したような姿だった。
続く
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スズラン(プロフ) - アーシェ£さん» いえいえ！ですが、楽しみに待ってます！ (2015年5月11日 18時) (
レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - スズランさん» すみません今週中には更新いたします！ありがとうございます！ (2015年5月11日 18時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - いつ更新されますでしょうか？続きが気になります！ (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - 白紙さん» ほんとですか！嬉しいですありがとうございます！頑張ります^^！ (2015年1月10日 11時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
白紙 - すごい読みやすくて面白いです！投稿頑張ってください。 (2015年1月8日 12時) (レス) id: 28fb1f4f57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：逃避 x他1人 | 作成日時：2014年10月27日 1時
