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十二挺:廊下 ページ13

ベッドを棕櫚にとられた。
よって私は
床に布団を敷いて寝るほかない。



私は弟に毛布をかけ、
布団がしまってある押入れがある部屋へ向かった。

廊下はひんやりとした空気が漂っていた。


私の家は平屋なため、縦横奥行きがあって
無駄に広い。


私の部屋から
その押入れがある部屋は
やや遠い。




さすがに怖かったので
廊下の電気を全部点け、

祖母から授かった数珠を片手に歩いた。



家の廊下を
数珠持ってそろそろ歩く女子高生が
どこの世界にいるだろうか。


こんな姿
友達に見られたら嫌だな。



・・・ぁ、今の高校に友達いないわ。





中学生の頃の充実ぶりを懐かしく思った。



うっかり悲しいことを考えてしまったら
もう止まらない。



新しい環境が苦手
新しい人が苦手

本当は仲良くしたいけど
急に話しかけられると
ぎこちない返事しかできなくて
相手に不快な思いをさせてしまう。



切ない自己嫌悪が
次から次へと溢れて
私の歩みをのろくした。





押入れがある部屋にたどり着いたときには
私はもうゴミくずのようになっていた。


押入れを開け、
布団を取り出す。


明日も学校かぁ。
嫌だなぁ。


楽しいこと一つもないよ。



クラス会なんて
参加しても
自分だけが醜く浮いて苦しいだけだ。


上手く喋れない、
つまらないと認識された瞬間
「輪」から外される。


しかもその「輪」自体も恐ろしいものだ。


さっきまで仲良く接してた子が
席を外した途端
急に「輪」ではその子の悪口大会が開催される。

その子が帰ってくると
「輪」の住人たちは
何事もなかったように楽しげに会話を始める。


そして その子もまた、
他の誰かを仲良くしながら嫌うのだ。



初めから私はただの傍観者だ。

彼らの醜い生態を目撃しては、
ただひたすらに恐怖していた。



あんな恐ろしいことになるくらいなら
いっそのこと友達なんていらない。


それが私の決断であり、愚かな判断である。




ああ。





A)「・・・早く寝なきゃ」



そう呟いてみたが、


私の気持ちは
どんどん床へめり込んでいく。



毎晩
床に着いてから始まるはずの
自己嫌悪タイムが

不覚にも
自分の部屋から遠く離れた
一つの部屋で発症してしまった。





私はついに

冷え切った部屋の中、
冷たい床に膝をついてしまった。





やばい。
動けない。




布団を抱えたまま、
座り込む。

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スズラン(プロフ) - アーシェ£さん» いえいえ!ですが、楽しみに待ってます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - スズランさん» すみません今週中には更新いたします!ありがとうございます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - いつ更新されますでしょうか?続きが気になります! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - 白紙さん» ほんとですか!嬉しいですありがとうございます!頑張ります^^! (2015年1月10日 11時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
白紙 - すごい読みやすくて面白いです!投稿頑張ってください。 (2015年1月8日 12時) (レス) id: 28fb1f4f57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:逃避 x他1人 | 作成日時:2014年10月27日 1時

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