アインの文書保管庫 (ページ17)

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｢……冠城さん！｣
｢松原……さ……ん……？｣
｢感動の再開ってか？｣

背後に拳銃を突きつけられる松原。
怪我をしている冠城が打てるわけでもない、揃ってピンチになったその時。

｢痛てぇ！何しやがるんだ！｣
｢今のうちだ！｣
｢お狐様ありがと！｣

海琴が男の頬を引っ掻き、隙を作る。
松原との連携プレーに、冠城は安心したようだ。
手を撃たれ、男は叫び声をあげた。

｢ん……なんかこいつら、動きが早……｣

嫌な予感が見事に的中してしまった。
｢再構築イベント｣が不幸にも今から始まってしまう事になるとは。

｢……こいつ、だいぶ動きが鈍ってきたぞ｣
｢今のうちに潰せ！｣

海琴もいない中、壮月もそれなりにピンチである。

｢どうしよう……｣

弾幕に囲まれ、絶体絶命の状況に陥った墨染。

｢慢心したな！？｣
｢松原さん、私も……！」
｢お前はダメだ！おい、お狐様！どうにか出来ないのか！？」
｢……こればっかりはどうしようも｣

とうとう弾の動きを見切れなくなり、弾が彼女を掠め、血が流れる。
そして冠城を除く二人が気づいた。

壮月がいなくなった。

｢ん！？あれは……まさか｣
｢え？え？」
｢お前たち、伏せるんだ！｣

再び尻尾での防壁を展開する海琴。
その直後に、大地が大きく揺れ、波は高くうねった。

｢散れ！｣

普段の壮月とは明らかに違うオーラ。
空からカオスの連中を踏み潰した。

｢……壮月……なんてことを｣
｢知らん。それより夏夜を運ぶぞ｣
｢急ぐぞ。やつのこの姿はそう持たない｣
｢……文書は機動部隊に任せるとしよう｣

怪我をした二人を抱え、壮月に乗る松原。
手綱を海琴に任せ、二人を固定する。

｢お狐様、任せたぞ｣
｢……主を頼んだ｣
ビルの灯りは消え、星と月明かりに照らされる。
壮月も力尽き、海琴に運ばれることになった。

｢2人とも……もう少しで手当してもらえるから……待ってろ｣

目を薄く開け、頷いたのは冠城だけであった。