アインの文書保管庫 (ページ2)

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独りじゃないページ2

生まれてから幸せだって言いきれたことなんて、両手で数えられるくらいか－
……前言撤回。片手の五本指ですら数えられるかどうか怪しい。

「…………生きる希望か」

窓の外では子供たちが楽しそうにしていた。

「こんなに生きるとは思わなかった、あの時失敗したのが……」

生きる気力も今の彼にはない。わずかな希望が目の前で脆く崩れ去ったあの日のことから、死についてしか考えていなかった。

「所詮は人間、みんな独りで死ぬもんな」

次に目が覚めた時には、スーツ姿の少し歳がいった男が横に座っていた。

「なんだ？こんな老いぼれに用なんかあんのか？」

何も答えず、無言で煙草を差し出してきた。
病室で喫煙するのもどうかとは思ったものの、久しぶりの煙草に目がくらんだ。

「……いただこう」

無理に起こそうとしたが、止められる。
火をつけた上で咥えさせてもらった。

「うまい……」

なんとなく自分の行く先を悟る。
確証なんてないが。
横にいる男は手を握ってゆっくりと頭を撫でてきた。

「……ありがとうな。俺は少し寝るぞ」

笑顔で男に礼を言う。悲しそうな笑顔が、俺が見た最後の景色だった。

「……お前の対価は支払われた。安らかに眠れ」

SCP-4999 【私たちを見守るもの】
Keter
青

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