近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ43)

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「大丈夫、大丈夫…よしっ！」

パチンと両手で頬を叩く。キッチンに行って残りのおかずを詰めて閉じる。我ながら上出来だと思う。魔法で少し冷めるように保存して体育着に着替える。

「おぉ！弁当か？昼食が楽しみじゃの」

「そんなに期待しないで下さいよ。もうそろそろ時間じゃないですか？」

「そうじゃな。ほれ、わしと行くぞ」

自分の中である程度の緊張をほぐす。なるべくいつも通りに。洞察力の鋭い先輩達だからバレないように。迷惑をかけないように、と心に決めて自分の席に座る。
マレウス先輩が言ってた通り俺でも知ってる有名な会社とかがちらほら見える。マジフトの時と比べたら全然だけどそういうのを見かけない俺からしたら今の光景も異様に見える。

「弁当作ってくれたんだろ？ありがとな」

「時間取ったんじゃない？わざわざありがとう」

「ううん。大丈夫！ちゃんと肉入れてるから」

ぱぁっと嬉しそうに笑って俺の近くに座る。1番最初の種目は徒競走でマレウス先輩がいて、その近くに獣人の人がいた。仲が良さそうには見えないけど。

「あの人、俺の先輩なんだよ。レオナ先輩ってんだ」

「へー。じゃあ、足速いのか？」

「ドラコニア先輩とは比べものにならないと思うけど…」

ピストルの銃声が響いて物凄い勢いで生徒が走る。俺の目がおかしくなかったらマレウス先輩の残像が見えた気がする…。ゴール地点にはマレウス先輩が飄々とした姿で立っていた。我が寮長ながらかっこいいと思う。

「やっぱ、ドラコニア先輩には無理か」

「マレウス先輩めっちゃ早いね。くそかっこよくなかった？」

「僕、残像見えた」

いつもと何ら変わりない会話をして皆を応援した。時間はあっという間に過ぎて正午になって約束の場所にエペル達と向かう。

「皆早くね？俺らビリじゃん」

「んな事より飯食おうぜ。俺腹減った」

シートを敷いてその上で弁当を開く。エイナさん達も呼んだけど昼食は職員室で食べると言われた。美味しいって言って食べていくけど食べるスピードが早すぎて俺な分がどんどん減ってく。流石に5段は余るだろうと思っていたけど多分残らねぇな。

「美味かったぜ！A料理うめぇのな」

「料理は好きだからね。はい、どーぞ」

まだ涼しいとは言えない気候で運動すれば普通に暑っ苦しい。だから、果物のアイスを作った。マレウス先輩が氷菓が好きだってのもあるけど俺がただ、作ってみたかっただけ。

「あっつ…」

「おい」

「チッ。…A？」