近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ5)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:154,478 hit

5 ページ5

「ところで、お主らはいつまで着いてくるんじゃ？」

リリア先輩がエイナさん達に笑顔で言う。エイナさん達は俺がΩだって周りにバレずに俺の学園生活をサポートしてくれる。だから、下手な事は出来ない。カイラさんが俺の部屋まで。って笑って言う。エイナさんと違ってカイラさんは嘘をつくのが上手い。

「ここがAの部屋じゃ」

俺の名前が壁に彫られていて中は一人部屋にしては少し広い。流石、金持ち学校といった感じ。家具も高そうで慣れるまで気が休まりそうではない。カイラさん達が魔法で俺の荷物を部屋に置いていく。
リリア先輩が俺の隣に来て軽く匂いを嗅ぐ。

「Aの第2性は…」

「αだ」

すかさずカイラさんが言う。リリア先輩は少し残念そうな顔をする。

「今年もΩの生徒はおらんのかの」

その話はして欲しくない。Ωとαの差を見せ付けられてるみたいで嫌だ。そんな気はなくても俺には辛い。でも、そんな事言えない。

「まぁ、そうだな。その話はまた後でにしよう。お前らの可愛い後輩を放っておくのか？」

カイラさんが気遣ってくれたのか話の話題を逸らしてくれた。有難いな。
全員帰って俺だけになる。エイナさんから貰った書類に目を通す。ヒート時の事や日々の学園生活の事。俺が飲んだ薬の副作用でヒートが普段の時より数倍酷いらしい。元々ヒートが酷いのにこれ以上酷くなったら気絶でもするんじゃないだろうか。不安だらけになりながらもやると決めたからには最後までやり切る。

「あ、寮長と喋ってないや」

腕を組んでずっと見られていたのは分かってる。先輩の方を見たら目が合ったけど真顔から変わらず。ずっと見られていた。特に気にしてなかったけど何かあったのかな。明日にでも聞けるようなら聞いてみればいいか。
いつもとは違う感触。匂い。触り心地。慣れるまで少し時間がかかりそう。

「目が、開かない…」

洗面器の鏡の前でいつものように顔を解している。俺は寝起きが死ぬほど悪い。ベッドから出るまでいつも30分はかかる。寝起きの顔も人でも殺した？っていつも言われるから表情筋を解してる。けど、今日は中々瞼が重くて開かない。顔を洗って見るとさっきよりはまし。制服に着替えて廊下に出るとマレウス先輩に会う。

「おはようございます」

「あぁ」

思ってたよりも低い声。でも、大人っぽいというか。凛々しい。みたいな声色。マレウス先輩と少し距離を開けて食事場所に行く。