近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ4)

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「ちゃんと…サポート、してくれますか」

いつまでも昔のことに囚われて逃げてばかりじゃダメ。だから、少しだけでも前に進んでしまえばいい。昔の事を忘れる訳じゃない。ただ、それを利用すればいい。何度も夢見た魔法学校。Ωだから。怖いからって逃げてた。けど、入学してもいいと言われたのであれば利用したらいい。怖くなったら逃げればいい。
俺は1人で幸せになりたいんだ。多少の我慢ならいくらでもしてやる。

「もちろん！じゃあ、行こっか」

人の良さそうな。優しい笑顔で俺の手を引く。項には噛み跡があった。番の跡。俺の手を引く左手の薬指には指輪が嵌められてる。

「僕の名前はエイナ・アーシェン。宜しくね」

「A・グローナです。宜しくお願いします」

手を引かれて着いたのはさっきの所で中には1人の保健医がいた。あれがさっきエイナさんが言ってた旦那さんか。綺麗な顔で。背が高く如何にもαって感じ。

「A・グローナだろ？俺はカイラ・アーシェンだ。宜しくな」

「宜しくお願いします」

差し出された左手にはエイナさんと同じ指輪が嵌められてる。握手をして大きな鏡の前に立つ。中から仮面が出てくる。俺はディアソムニア寮という寮に入る。兄さんと同じだ。沢山の鏡が並んでる中の1つの鏡の中に入る。

「はい。これ飲んで」

「なんですかこれ」

「第2性の匂いをわからなくする薬だよ。ちょっと苦いけど我慢してね」

緑色のドロっとした試験管に入れられた薬。口に入れれば苦味がどっと押し寄せてきて不味い。真っ暗な茨の針が見える道の奥に大きな城が見える。あれがディアソムニア寮か。

「寮長達を呼んでくるから待っててくれ」

カイラさんはそう言って寮の中に入っていく。エイナさんと喋りながら待ってると奥から背の大きな角の生えた人と背の小さな人を連れたカイラさんが見えた。

「マレウス君とリリア君の気迫はいつ見ても凄いね。特に、マレウス君」

「そう、ですね…」

見ただけでわかる。あの人達はαだ。体の中に不快感が広がっていって気分が心底悪くなる。吐き気と頭痛が酷い。けど、ここで逃げたら意味が無い。自分を叱咤して何も無いような素振りで接する。

「お主、入学式におったか？」

「少し、気分が悪くて。保健室に行ってました」

「そうじゃったか！カイラから話は聞いておる。ディアソムニアの新入生じゃろ。わしはリリア・ヴァンルージュじゃ。こっちはマレウス・ドラコニアじゃ。宜しくの」

「A・グローナです」