近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ21)

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人混みを避けた物陰に立ってエース達を待つ。プリンを買いに列に並んでるエースに笑いかけて携帯をいじってると背後から気配がしてしゃがみ込む。

「こーえーびーちゃあぁあ！？」

俺の上を大きな体が横切る。随分と驚いた顔して綺麗に着地する。この前のヤクザだ。

「すみません！」

謝って逃げる。振り向くと笑って追いかけてくる。いや、あれ絶対捕まったらやばいだろ。転移魔法を使って食堂に戻る。流石に撒けたはず。エース達に何でもない素振りで話しかける。

「プリン買えた？」

「おう。ほら」

「よっしゃ！高いから買えなかったんだよ。ありがと！」

「ほら、行くぞ」

「ここじゃなくていいの？俺がいつも食べてるとこ静かだよ？」

「だってAいつも僕達と食べてくれないでしょ？」

「人混み苦手だからね、」

「じゃあ、行こーぜ」

本当は結構気に入ってる場所だから教えたくなかったんだけど。別にいいや。いつもの校舎裏の大きな木に飛んで座る。きょとんとした顔で俺を見つめる。

「なに？来ないの？」

「そんなとこで食ってんの？」

「そうだけど」

「俺ら登れねぇんたけど」

あぁ、そうか。パチン、と指を鳴らして4人とも各枝に移動させる。驚いた顔してたけど楽しそうで笑ってた。そういえばさっきの人この前の人にしては落ち着きが無かった感じがしたけど、もう1人の方かな。というか、小エビって誰の事だろう。俺だったら似合わないな。172はあるし。
グイッ、と足を引っ張られて枝から滑り落ちる。下を見たらさっきの人で。全身に嫌悪感が走る。

「あはっ。捕まえた」

俺の足首を掴んでそのまま引きずり落とそうとする。掴まれてない方の足で腕に向かって蹴る。鈍い音を立てて手が離れる。

「いって」

「す、すみません…。俺用あるんで」

酷いことをしたと思う。多分結構痛い。割と本気で蹴ってしまった。足首に触れた手の熱は人間にしては冷たかった。エース達も置いてきちゃった。どうしよう。バクバクと心臓が脈打つ。保健室に入ってベッドに転がる。エイナさん達は昼休みだからいない。ドアの開く音が聞こえて反射的に隠れる。

「カイラ少し話があるんだか…いない、のか？」

マレウス先輩が椅子に腰掛ける。なんとなく気まずくて出られない。多分俺がいるってバレてる。

「大丈夫か。A」

「だ、大丈夫です。ご心配おかけしました」

レース越しに喋る。失礼なのは分かってるけど面と向かって話せない。心臓が痛い。さっきより脈拍が早い。