近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ15)

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「う"っ…う"え"えぇ」

体がおかしい。吐き気が止まらない。かれこれ30分くらい吐いてる。魔法を使おうにもふらふらして使えない。吐き気が収まってなにがなんだか分からないまま片付ける。自分の服を脱いだ時Ωの匂いがぶわっと鼻まで届く。まずい。まずい。なんで薬が切れてるんだ。保健室に移動して立てずにその場にへたり込む。

「A君！」

「っ…。すまんが、エイナ。頼んだ」

「分かった。立てそう？」

ぶんぶんと頭を振る。エイナさんが魔法で俺をベッドまで運んでくれる。さっきより匂いが酷い。ここまで来たら誰でも分かる。カイラさんに迷惑かけてしまった。元々Ωの匂いが強い俺はαのカイラさんからすれば辛い匂いだったと思う。

「ヒートじゃないけど…。今日はマンションに行こうか」

「っ、はい…」

「無理に喋らなくていいよ。安静にね」

俺の頭を優しく撫でてくれる。安心して呼吸が落ち着いてくる。眠気がどっと来て瞼が重くなる。エイナさんが寝ていいよ、と言ってくれたので意識を手放した。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「よっし…っと」

さっきより顔色が良い。マンションの寝室にA君を寝かせて万が一のシールド魔法をかけて学園に戻る。

「ヒートか？」

「ううん。A君のΩの匂いが元々濃いんだよ。Ωの僕でもかなりキツかったし」

「そうか。魔法薬が切れる前に飲むように伝えているんだが」

「それはA君の性格上ちゃんと守ってるよ」

「じゃあ…」

「第3者によるものだと思う。多分解毒薬。無理に薬の効果を切ったからA君の負担が多かったんだろうね」

じゃあ、一体誰が。大体の予想は着いてる。マレウス君達だろう。この学園の生徒の中で唯一僕がΩって気付いてる2人だけど。なんでAに解毒薬なんか服用させたんだろう。そう考えていると保健室のドアが叩かれる。

「どうしたの？2人とも」

「Aが寮内におらんくてな」

「んー。残念だけどここにはいないね」

「なに？」

「でも、どこにいるかは知ってるよ。教えられないけど」

教師には守秘義務がある。いくら寮長と言えど教える事は出来ない。でも、こう心配してくれてるのだから多少なりかは教えておいてあげないといけない。

「そこに座れ」

2人を座らせて1枚の紙を差し出す。その紙にはA君の事を軽くまとめてあるもの。A君が知られたくない事。僕らが教えられない事は書いてないけど。