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「マレウス、リリア。入るぞ」
「どうしたんじゃ。カイラ」
「ちょっと来てくれ」
僕の学校の保険医のカイラに呼び出される。こいつがわざわざ僕の寮まで来るなんて珍しい。リリアと共に着いていけば寮の門扉まで連れてこられる。
「お前らの新しい後輩だ」
門の前にエイナと一緒にいる生徒がいた。入学式は遠の前に終わっている。
「お主、入学式におったか?」
「少し、気分が悪くて。保健室に行ってました」
「そうじゃったか!カイラから話は聞いておる。ディアソムニアの新入生じゃろ。わしはリリア・ヴァンルージュじゃ。こっちはマレウス・ドラコニアじゃ。宜しくの」
「A・グローナです」
一瞬顔が歪んだ。まだ、しんどいのだろうか。それにしてもグローナ家の者か。グローナ家はかなり腕の立つ魔法士家系だ。こいつから感じる魔力もかなり。だが、第2性の匂いが分からない。僕が分からないなんておかしい。なにかヒントにならないかと見ていたが特に変わった感じはない。カイラにはαだと言われたがαにしては匂いが無さすぎる。βにしては匂いが濃い。Ωにしては艶美な匂いが無い。どれにも該当しない匂いがこいつから匂う。
「Aの第2性に関してじゃが。マレウスも分からぬか?」
「あぁ。分からない」
リリアも僕と同じ事を思っていたようで。中性的な綺麗な顔立ちで細い体型をしていた。僕が抱き締めてしまえば折れてしまいそう。
朝になって廊下を歩いているとドアが開いた。Aが僕に笑って挨拶をする。僕から少し離れて食事処に入る。目線で追いかけると誰も座っていない1番隅の方に座る。他の寮生達との関わりは見受けられない。
「おはよう。マレウス」
「おはよう。リリア」
「Aは1人で食べているようじゃの」
「そうだな」
「そうじゃ!今日の夕食時にAを呼んでみようかの。セベク、Aと同学年なんじゃから呼んできてくれんかの」
「畏まりました。リリア様」
リリアの気まぐれには呆れるが僕もAと食事をするのは悪くない。少しばかり、興味があるから。
「ほれ!マレウス!Aがわしに笑いかけてくれたぞ」
「そうだな」
飛行術の授業で隣にいるリリアが嬉しそうに報告する。Aと仲良くなりたいそうで他の寮生よりも随分と甘い。
「マレウスも手を振ったらどうじゃ」
「僕はいい」
僕だって仲良くなりたいけど。Aにどう思われているのか知ってからの方がいいだろう。
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ピピ - やばいぐらい主人公が好みです! (2020年6月4日 16時) (レス) id: de2e77a72a (このIDを非表示/違反報告)
伶(プロフ) - おっふ(^^) (2020年6月3日 0時) (レス) id: 472a16cc4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:田中 | 作成日時:2020年5月30日 11時