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『いや。だから。無理ですって』
「別にどこも同じですよ?時給だって」
『時給良いですけど過ごす時間増えすぎです』
アズール先輩と一体一での話し合い。内容は、メイド喫茶辞めてモストロ・ラウンジで働く。時給もメイド喫茶より高いしめっちゃ揺らいだけどもし仮にモストロ・ラウンジで働けば私は寮でもバイトでも先輩達と過ごさないといけない。それは流石にしんどい。
「はぁ…。別に数時間増えるぐらい良いじゃないですか」
それはお前だからだろうが。
『じゃあ、侑李も働かせてくれるなら考えなくも無いですよ』
「別にいいですよ?」
時給高いから躊躇すると思って提案したのに即答でこっちが戸惑う。にこにこ胡散臭い笑み浮かべてじーっとこっちを見る。なんですか、って聞けばサインして頂けますか、ってまだやるなんて一言も言ってねぇし。
『分かりましたよ…』
「ありがとうございます。貴方ならそう言ってくれると思ってましたよ」
『男性制服でお願いします』
「分かりました」
私に生まれるメリットを考えた上での結果。ここで働いたら図書館にもグラウンドにも行きやすくなる。メイド喫茶に連絡して、マジカメのアカウントを消す。
ガチャ。扉が開いてジェイド先輩に着いてきてください、って腕握られて引っ張られる。いや、なに。なんだ。連れてこられたのは部屋。
『え、なんですか…』
「フロイドから聞きました」
『あ、そうですか』
「結構あっさりしてるんですね」
うん。まぁ。君達が知らないだけで24だからそんな事で騒いで無いよ。驚いた顔で少し苛立った瞳をしてる。私なんかやらかしたっけ。キスに関しては向こうからだしこっちからしねぇよ。犯罪者になるんだよ。
「僕はダメですか?」
え。まって。なんでジェイド先輩の顔あんの。
『ちょ、おい』
「好きなんです。Aさんが」
ベッドに押し倒されて天井とジェイド先輩の顔が見える。辛そうな顔するなら、言わなきゃいいのに。頭の上で両腕を抑えられる。あ、やばい。
『待って。やめろ』
「暴れないで下さい。酷くしたく無いんです」
冗談がキツイ。ゆっくりと制服のボタンが外れて焦る。かなりじたばたしてるけど退いてくれないし。腕痛いし。動かない。こんなの漫画じゃねぇか。
『冗談が過ぎるって!』
「いつ冗談だなんて言いました?」
冷たい。酷く冷めた。哀しい顔。重い空気がのしかかって痛い。そんな顔されても犯 される気は無い。胸元まで外れた所で動きが止まった。
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作者名:田中 | 作成日時:2020年5月24日 1時