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「大倉」
「うっわ亮ちゃん久しぶりやん」
一個下の大倉。変なやつ。
部活に入ってない俺と大倉の間に上下関係などほとんどなく、あるのはいつの間に かくんと見下ろされるほどの身長差だけである。
「何、次体育なん?」
昼休みに体育着になってる大倉を見て、茶化すように言う。
「そう、やなかったらずっとマルちゃんと喋ってたわ」
「ほんま、仲ええよね。丸山と」
丸山先生なんて、うちの学年の授業はほとんど持っていないから、得体の知れない印象で。まあまあ男前で優しげだからか、人気はあるようだけれども…
なんとなく胡散臭さを感じる人も、いるはずである。
「何話してるん」
「んーとさっきは変なおとぎ話されたで?」
「はぁ?」
「なんか、半人前の死神さんの話」
「なんやそれ」
「いや、ようわからんかった。マルちゃん基本わけわからんことしか言わんからな」
予鈴が鳴って、大倉はじゃあ行くな、と体育館へ走っていった。
「………」
中学からの同級生のAが行方不明になったことは、もちろん別なクラスの俺の耳にも入ってきていた。
なんや女に突き飛ばされたところを見ただとか
その女が俺に告白してきたことだとか
俺がその女を振ったことだとか
もしもそれが原因で、Aに何かあったのだとしたら
「亮?」
「……あっ、章ちゃん」
「ぼーっとしとったな?どしたぁ?」
「や、ちょお……考え事」
俺のせいでAが危ない目にあっていたらと、
俺は怖くなった。
頼むから生きていてくれと、
そう思うだけでは治らなくて
かといって俺に何かか出来るわけでもなく、ため息をついた。
「あ…亮さ」
「…ん?」
「亮、Aと中学一緒やったやろ」
Aの名前を章ちゃんの口から聞くと、俺は少し苦しくなる。
きっとAは章ちゃんのことが好きだと思う。
「ああ…そうやけど」
「なんか、知らん?行方不明になって…心配やねん」
「…その話聞いて、俺も心配やってんけど……なんも知らんねん」
「そっかぁ……わかった、ありがとうな亮」
章ちゃんの目の下にできた隈が、
彼女を心配することに起因するとしたら
……きっと彼女は喜ぶんやろうな。
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ねこひこ(プロフ) - たまごさん» まじ!!!短めだけどお気に入りのページだったからたまに褒めてもらえるのめちゃめちゃ嬉しい!!!!、、、! (2019年10月29日 17時) (レス) id: adbab09624 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - 18ページ目めっちゃ好き (2019年10月29日 1時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
ねこひこ(プロフ) - 菜春さん» 菜春様、コメントありがとうございます。以前も何かの作品でコメント頂きましたよね、覚えています!以前よりも格段にゆっくりペースでの更新ですが、楽しみに待っていていただけると嬉しいです。がんばりますね、これからまたお願いいたします! (2019年10月27日 17時) (レス) id: adbab09624 (このIDを非表示/違反報告)
菜春(プロフ) - ウワーーーー猫彦さん復活してて本気で鳥肌もんでした感動、、前のアカウント?のときから拝見させていただいてました( ; ; )ねこひこさんのかく文章が大好きなので嬉しいです!! (2019年10月26日 16時) (レス) id: 8f96908852 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ねこひこさん» わろた ちゅき (2019年8月23日 1時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこひこ | 作成日時:2019年8月6日 20時