1 ページ1
・
人生でこんなにも人を好きになることって
なかなか無いと思う。
幼稚園の頃の誰々くん好き！とか
小学校のときにあげたバレンタインのチョコレートとか
そういうものとは違くて
多少大人に近づいた今、なんかやっとわかった気がする。
これが、恋に落ちるという感覚かと。
「A、教科書みせて？」
「また忘れたの？」
「ありがと〜〜」
見せてやるとも言ってないのに
机をくっつけ出すこの人こそが私の好きな人。
どうして好きになったんだろう。
身長も低いし
顔だって別に……もっとかっこいい人はいる。
だけど優しい。
「A字綺麗やねんな」
「え、嘘」
「Aっぽい、しゃんとした字」
「……なにそれ」
私の左側、
ニコニコと口角を上げて目を細めて笑う。
ああ……この顔、いいな。
「安田くんも、綺麗な字」
「せやろ」
「自分で言う？」
授業中にこうやって小声で話す。
みんなと違って机をくっつけて
みんなよりも近い距離で、安田くんと話す。
なんだか…安田くんを独り占めしているみたいだ。
この気持ちが、ずっと綺麗なものであったらいいのに、私はどんどん傲慢になる。
安田くんが私のことを好きだったらいい。
私だけを見てくれたらいい。
私だけが、安田くんを好きだったらいいのに__…
チャイムが鳴る。
「よっしゃ、A教科書ありがとぉ」
いとも簡単に、安田くんと私の距離は離れる。
それを惜しまず、
彼はやってのける。
当たり前だ。
安田くんは私のことを好きじゃ無いのだから。
日本史は教科担任が横山先生だから、真面目に聞く女の子も多いけど、私はそもそも歴史にあんまり興味が持てない。
つまらない授業も、
安田くんが隣にいるから、……ああ。
何もない日常の、ほんの少しのスパイスとしては安田くんは刺激が強すぎるんじゃないだろうか。
だってただ教科書を見せてあげただけ。
そのために机を寄せただけ。
たったそれだけで、
こんなに私は、熱い_____
気持ちは沸き上がって火傷しそうだって言うのに、
今にも溢れてしまいそうな気持ちなのに……
私は安田くんにこの想いを伝えることさえ
安田くんの視界に入ることさえ_____……
不可能になってしまう。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねこひこ(プロフ) - たまごさん» まじ！！！短めだけどお気に入りのページだったからたまに褒めてもらえるのめちゃめちゃ嬉しい！！！！、、、！ (2019年10月29日 17時) (
レス) id: adbab09624 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - 18ページ目めっちゃ好き (2019年10月29日 1時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
ねこひこ(プロフ) - 菜春さん» 菜春様、コメントありがとうございます。以前も何かの作品でコメント頂きましたよね、覚えています！以前よりも格段にゆっくりペースでの更新ですが、楽しみに待っていていただけると嬉しいです。がんばりますね、これからまたお願いいたします！ (2019年10月27日 17時) (レス) id: adbab09624 (このIDを非表示/違反報告)
菜春(プロフ) - ウワーーーー猫彦さん復活してて本気で鳥肌もんでした感動、、前のアカウント？のときから拝見させていただいてました（ ; ; ）ねこひこさんのかく文章が大好きなので嬉しいです！！ (2019年10月26日 16時) (レス) id: 8f96908852 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ねこひこさん» わろた ちゅき (2019年8月23日 1時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねこひこ | 作成日時：2019年8月6日 20時
